ロッテ佐々木朗希投手(19)が3月末以来、262日ぶりに報道陣と対面での会見を行った。14日、来季の契約交渉を行い、現状維持の年俸1600万円でサイン。大船渡(岩手)時代に最速163キロをマークした右腕は、今季は1軍帯同で肉体強化に励んでいた。

「失礼します!」と朗らかに響かせ、紺スーツで会見室に姿を見せた。コンディション不良もあり、希代の快速球の披露は来季にお預け。それでも「来年から試合で投げるにあたって、すごくいい経験だったと思います」と胸を張り、プロ1年目を回想した。

思い描いた日々とは違ったかもしれない。「目標は高く設定するものなので。目標に届かなかったですけど、思い通りになることは少ないと思うので。それでも充実した1年を過ごせたので、来年再来年に生きるようにと」。そんな2020年を「成長の成」と一文字で表現した。

プロ野球をつぶさに目撃した1年でもあった。体を大きくした。先発投手の調整を観察した。外国人選手にフランクに話しかけた。先輩たちの活躍はテレビ観戦。熱戦の数々に「野球面白いな、って思いました」とマスク越しに笑った。「なんか分かんないですけど面白かったです」。

飛躍の2年目へ、現在は最長60メートルほどのキャッチボールで調整する。「2月まで時間があるのでゆっくり、じっくり、多く。キャッチボールは大事だと思うので。感覚を研ぎ澄ませながら。気付いたら1時間半とかになっちゃって」と丁寧に紡ぎ、焦らず備える。

2021年への思いは「発」としたためた。「2年目ですけど、新たな出発ということで」。さぁ、マウンドへ。言葉にならないようなワクワクを、希代の快速球をもって伝える番だ。(金額は推定)【金子真仁】