巨人菅野智之投手が、新たな記録で球団史に名を刻んだ。6年ぶり2度目の最優秀選手。巨人の投手で2度目の受賞はスタルヒン、別所毅彦、藤田元司に並ぶ最多で、伯父でもある原監督も超えた。

「僕だけの力では取れなかった。このような賞をいただけたのも、シーズン最後まで試合ができたということなので、医療従事者、ファンのみなさんに感謝したいです」と頭を下げた。

記憶と記録に残る1年だった。6度目の開幕投手で今季初勝利。連勝街道を突き進み、10月6日DeNA戦で史上初の開幕戦からの13連勝を達成した。印象に残る試合には、7回に吉川尚の2ランで逆転した開幕戦を挙げ「負けていたら連勝記録もなかった。順調な道のりではなかったけど、チームメートがつなげてくれた記録」とかみしめた。

腕から始動する新フォームで挑み、安定感抜群の投球でリーグ連覇を先導した。20試合に先発し、14勝2敗、防御率1・97。クオリティースタート(6回以上、自責3以内)は16回を数えた。最多勝と、自身初の最高勝率(8割7分5厘)を獲得。プロ8年間で沢村賞、最多奪三振、最優秀防御率、ベストナイン、ゴールデングラブ賞と先発投手のタイトルを総なめした。

今オフは大リーグ球団との交渉に向け、ポスティングシステムを申請した。自身の夢である大リーグでのプレーを模索しながら、新型コロナウイルスの影響で来季の大リーグの開催形式なども不透明なことから残留も視野に入れる。

菅野 僕自身も正直どうなるか分かりません。でも、どこへ行っても、こういう賞をいただけるような活躍をしたいと思っていますし、そのためには想像を絶するくらいの覚悟と決意がないといけないです。

13連勝を飾ったDeNA戦で平成生まれ初の通算100勝も達成した。「200勝は気が遠くなるような数字。まずは150勝を目指してやっていきたいです」。次なる節目に向け、歩みを進める。【久保賢吾】

◆巨人菅野の現状 8日にポスティングシステムの申請が受理されると「ホッとしている気持ちと不安も多少あります」と心境を告白。新型コロナウイルスの影響で来季の開催形式などが不透明なことから、巨人残留も選択肢に入れながら大リーグ球団と交渉を始める意向を示し、年内決着を希望している。ヤンキースをはじめ、複数のメジャー球団が獲得に動くと予想されており、交渉期限は来年1月8日午前7時(日本時間)。