5年連続日本一を目指すソフトバンクに新たな力が加わった。小久保裕紀ヘッドコーチ(49)だ。ダイエー、巨人、ソフトバンクでの現役を経て、侍ジャパン監督も務めた新参謀は「若手野手の底上げ」という重要ミッションに挑む。

昨年12月3日の就任会見で、小久保ヘッドは「野手の強化、底上げをしてほしいという言葉をいただいた」と明かした。現役時代は主力、ベテランになってもバットを振り続けた「練習の鬼」だった。「ちょっと怖い存在でいようかなと思います」と、鬼コーチになる覚悟を示した傍ら、明確な指導ビジョンも披露した。

「選手の思考の邪魔をしない。ある程度、チームの中で彼をどうしていこうという方針は持っていた方がいいと思う。選手個々の長所や短所を理解した上でアプローチするべき。思いつきでそのときそのときで指導したら選手は迷う」

首脳陣全体で方針を共有し、選手を迷わせないコーチングで若手野手を導く考えだ。

大きなテーマの1つが「ポスト松田」の育成だ。長年、サードのレギュラーを張る松田宣は今年で38歳。巨人以来のV9に突き進むチームにとって、ベテランに頼り続けるわけにはいかないことも事実だ。

小久保ヘッドは「松田というビッグスターがいる中で、彼を押しのけて出てくるような選手が出てこないとチームは永久的に強くあり続けることが難しい。彼にはもうひと踏ん張りしてほしいというのは当然ありますけど、そこだけに頼っていては当然いけない」。2軍では増田、リチャード、野村ら三塁を狙う若手が切磋琢磨(せっさたくま)。ドラフト1位の井上朋也内野手(17=花咲徳栄)も三塁一本で勝負する構えだ。未来の鷹を担う野手を育て、常勝軍団をさらに強固にしていく。【山本大地】

◆小久保裕紀(こくぼ・ひろき)1971年(昭46)10月8日、和歌山県生まれ。星林-青学大を経て93年ドラフト2位でダイエー入団。2年目の95年に28本で本塁打王、97年打点王。03年オフに異例の無償トレードで巨人移籍。07年にFAでソフトバンクに復帰し、12年に現役引退。通算2057試合出場で打率2割7分3厘、2041安打、413本塁打、1304打点。青学時代に92年バルセロナ五輪で銅メダル。13年10月から17年WBCまで侍ジャパン監督を務めた。現役時代のサイズは182センチ、87センチ。右投げ右打ち。