日本野球機構(NPB)とJリーグは12日、新型コロナウイルス対策連絡会議を開き、その後の臨時12球団代表者会議とJリーグ実行委員会で春季キャンプを予定通り、実施する方針を確認した。コロナ禍の急拡大でプロ野球は2月1日から、Jリーグは今週中にも始まるキャンプの実施が危ぶまれた。だが専門家も交えての話し合いで感染予防策を徹底し、各自治体と連携を取って十分な検査態勢を構築してキャンプを行う。

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開幕前のカレンダーの変更という最悪の事態は、現状では回避できることになった。緊急事態宣言を発令する地域が増える中で、キャンプの実施が危ぶまれる可能性もあった。だが、自治体と連携を取りながら入念に準備を続けてきており、専門家の助言も受け、予定通り実施は可能と判断した。

NPB斉藤コミッショナーは「2月1日から粛々と、どうやってやるかに知恵を出し合っている。よほどのことがない限りキャンセルや延期はない。自治体側がとても耐えられない状況になれば真剣に話し合いをして考えていく」と話した。Jリーグ村井チェアマンも「(キャンプ地の)皆さまの理解がもらえるように対応しないといけない。無観客にするかなどは地域との協議が必要だと思う。現状は行う前提で万全の体制を作りたい」と同調した。

実施に向け、専門家からは十分な検査態勢の構築を求められた。キャンプ地への移動前、キャンプイン直後にPCR検査を受け、その後も1週間に1度のペースで選手、首脳陣、スタッフらをスクリーニング検査にかける。OBや評論家、報道陣にも事前検査を求める方針。取り巻く全ての人々が一体となって、キャンプを遂行する構えだ。

キャンプが延期になれば、シーズン開幕にも影響しかねなかった。専門家チームの愛知医科大・三鴨教授は「キャンプを行わないとシーズンを行えない。後ろ倒しになると試合数が減ったりにつながる。基本的には延期という策はほとんど考えず、いかにやるかということで議論が集中した」と方向性は同じだった。

2大スポーツの動向は両組織だけの問題にとどまらない。東邦大・舘田教授は「NPBとJリーグがやれないと、東京五輪、パラリンピックなんてとてもじゃないけど、できないわけです。大事なエビデンスを出しながら手本となるようなシーズンにしていかないといけない」と話した。大きな箱舟に乗って、コロナ禍2年目のシーズンへこぎ出す。【広重竜太郎】

▽西武飯田球団本部長「2月1日のキャンプインに向けて、引き続き、感染対策を徹底しながら準備を進めてまいります。ファンの皆さまには各メディアなどを通じて、選手の元気な姿を2月1日にお届けできるよう、より一層感染対策において、気を引き締めてやってまいります」

▽日本ハム川村球団社長兼オーナー代行「今日は(開幕日の)3月26日を目指して(キャンプインは)2月1日となったが、3月26日に(開幕できるか)という議論もしっかりしていかなきゃいけないとなった。緊急事態宣言が続いていたら5000人上限の球場も多く、20時以降は外出自粛という中でナイターだけ特別扱いになっていいのか。去年みたいに(開幕)延期という議論にはなっていないが、どう開催するかという議論をきちっとしていこうという方向性を出した」

▽中日加藤代表「(沖縄キャンプは予定通り実施か)はい。(PCR検査は)選手、スタッフについては週1回程度やる。(ファン受け入れは)自治体の意向を踏まえて検討する。(キャンプを遅らせることは)ずらして欲しいと自治体からは言われていない。自治体とはどうやってキャンプをするか協議を重ねる」