ロッテは20日、石垣島の春季キャンプで松中信彦氏(47)が臨時コーチに就任すると発表した。昨季12球団ワーストの打率2割3分5厘の改善へ、ダイエー時代にともに主軸を担った井口資仁監督(46)がラブコールを送り、実現した。安田尚憲内野手(21)をはじめ入団4年目以内に好打者の卵がそろう。球団はキャンプ後の臨時指導の要請も検討。「平成唯一の3冠王」が立ち上がる。

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ロッテV逸の原因は明白だった。あと1本が出ない-。2位に終わった昨季終了後の早い段階で、井口監督は動いていた。浮かんだのは、かつて自分の後ろでいつもドシッと構えてくれた強打者。電話越しのラブコールが実った。

松中氏は球団を通じ、井口監督への感謝を口にした上で「私自身、NPBに育てていただいた思いがあるので、少しでも恩返しになればと思っています。今まで自分がやってきたいろいろな練習方法や技術を若い選手に伝えたいと思っています」とコメントした。

松中氏は今季、ロッテの試合も多くチェックしていた。「これからのマリーンズを背負っていく野手が特に多いという印象を受けています」。電話では、選手名を挙げての「ここをこうしたら」という話にも及んだ。より良いものへ導くイメージは、キャンプで存分に具現化される。

まずは安田だ。昨季87試合で4番に座ったが、指揮官はシーズン後に「レアードが(故障で)抜けてから正直なところ、4番を打てる選手がいなかった」と育成メインの起用だったことを明かした。個人成績は他球団の4番打者たちのそれより劣った。同じ左打者の臨時コーチに「彼の伸びしろをどんどん引き出してほしい」と願う。

藤原、和田らも含めた若手はもちろん「中堅でもまだまだ打撃で悩んでいる選手がいっぱいいる」(井口監督)のが現状だ。主軸の井上らに加え、潜在能力を出し切れない岡、吉田らにも大きな刺激となる。球団は現時点で、キャンプ後も臨時指導を要請することを検討している。

現役時代、とにかく練習する松中の姿が今も色濃く残るという。数日前に佐々木朗について「去年と扱い方は全く違うと思います」と話した井口監督は「おそらくキャンプでも(選手は)だいぶ振らされると思います」と、再び不敵に笑って予告した。【金子真仁】

 

<ロッテ期待の若手打者>

◆安田尚憲内野手(21)=履正社卒、4年目。昨季は87試合で4番に座るも数字は伸び悩み今季が勝負

◆和田康士朗外野手(22)=BC・富山出身、4年目。俊足と広い守備範囲は抜群。打次第で定位置も

◆藤原恭大外野手(20)=大阪桐蔭卒、3年目。フルスイングが魅力。今季は1番打者の有力候補

◆山口航輝外野手(20)=明桜卒、3年目。昨季は2軍主軸として7本塁打。希少な右の大砲候補

◆佐藤都志也捕手(22)=東洋大卒、2年目。「打てる捕手」として開花すればチームにとって大きい

◆福田光輝内野手(23)=法大卒、2年目。思い切りの良さが売り。空振りが多いのが1年目の課題

◆高部瑛斗外野手(23)=国士舘大卒、2年目。バットコントロールに定評で昨季イースタン打率2位