西武、巨人、オリックスで通算525本塁打を放った清原和博氏(53)が、プロ野球経験者が学生(高校生、大学生)を指導するために受講が求められている「学生野球資格回復研修」を全て終えたことが4日、明らかになった。5日に行われる日本学生野球協会による資格回復審査委員会で認定されれば、将来的な学生への指導の道が開かれる。

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本年度の資格回復研修は、新型コロナウイルス感染拡大のため、全てオンラインで行われた。

昨年度、受講のため会場に姿を見せたイチロー氏の姿が報じられたように、例年は都内に受講者、講師が集まっていた。今回はeラーニング形式。受講者は各自それぞれの場所、時間でパソコンを開き、録画された講義を聴いた。

まずは、昨年12月18~27日、NPBプロ研修が行われた。1講座は約1時間。計4講座で、テストも実施された。同研修を終了した受講者が、1月8~17日のアマ側による学生野球研修に進んだ。こちらは計12講座で、リポートによる課題提出もあった。プロ、アマ両方の研修を終えた受講者を対象に、日本学生野球協会が5日に資格回復審査委員会を開き、認定者を決める。

清原氏は全ての受講を終え、課題も提出済み。審査の対象となっている。ただ、学生野球資格の回復が認められても、すぐには指導者になれない。

日本学生野球協会は「指導者に関するガイドライン」で「適任者に該当しない者」を定めている。刑の執行猶予を受けた者で、猶予期間経過後5年を経過していない者も、これに含まれる。清原氏の覚醒剤取締法違反による4年間の執行猶予が満了したのは、20年6月15日。そのため、早くとも25年6月までは指導者になれない。だが、学生野球資格回復は、プロ野球経験者が高校生、大学生を指導するための大前提。将来的な選択肢を広げることに直結している。

昨年6月に執行猶予を満了した際、今後について「人生を薬物依存症で苦しむ人たちと、野球界、特に私自身の原点でもあります高校野球にささげたい」とコメントした。再び野球に向き合う清原氏にとって、学生野球資格回復は大きな1歩となる。

◆学生野球資格回復研修 国内外、独立リーグを含むプロ野球経験者は、学生野球資格を回復しないと、学生(高校生、大学生)を指導できない。13年に制度化され、14年1月に208人が認定された。それまでは、高校の指導者になるには教諭歴2年が条件だっただけに、プロアマ雪解けの象徴的な出来事となった。現在は、研修を受けなくても教諭になればすぐ資格回復が認められる。特例として、野球殿堂入りした場合は研修に代わる面談、リポート提出など、簡略な手続きで資格回復できる。

NPBプロ研修では、プロアマの歴史、新人選手獲得ルール、指導者の役割、障がい予防などを学び、小テストも実施。学生野球研修では、部活動の位置づけと学校長の権限、留意すべき教育的配慮の事例、安全管理などを学び、リポート提出もある。資格回復が認められれば、母校はすぐに指導可能。母校以外は、学校の所属連盟に指導者登録が必要となる。