「やるしかない」「やらないといけない」。

約8分間の取材の中で、巨人小林誠司捕手(31)が4度発した言葉の中に、今季への覚悟がにじんでいた。

沖縄・那覇でのS班キャンプ3日目の8日、全体練習が始まる1時間以上も前の午前8時30分には石井野手総合コーチと外野でバットを振る姿があった。

室内練習場に移動してからは、150センチ以上はある長い棒を振った。ティー打撃では内角高めに設定されたティースタンドの球にコンパクトに内側からバットを出し、逆方向に打った。

石井コーチは「そこそこパンチ、力があるので、どうしても力に頼ってしまうというか、スイング自体が大きくなってしまう。今は逆にパンチ力を抑えて、センターから反対方向。そっちの精度を上げれば、強みであるパンチ力も生きてくる。それの意識付け」と練習の意図を説明した。

全体練習のフリー打撃でも55スイング中48球は中堅より右方向に打ち返した。小林は「自分で打つ方向をしっかり決めて確率よく、辛抱強く継続していかないといけない」と言った。

1日から始まったS班キャンプでは毎日、早出、居残りで特打を行う姿は、恒例行事となっている。「僕は周りの皆さんとは立場も違いますし、だからといって、練習するだけではだめだと思うので、その辺りの意識は考えてやっていけるようにしたい」と石井コーチの教えを徹底している。

昨季は開幕3戦目に左尺骨を骨折し10試合の出場にとどまった。その間、大城が打力を武器に成長。ベストナインにも輝いた。この日、宮崎で行われている紅白戦でも先制の犠飛を放ち、24歳の岸田は盗塁を刺すなど後輩たちがアピールを続けている。

小林は「去年は何もできなかったですし、そういう中で(大城)卓三も岸田も頑張って、やっぱりそういう世界だと思う。その中でもう1度、競争で勝つというのは常に意識して頑張りたい」と力を込めた。石井コーチも「(小林の)『今年は死に物狂いで』っていうコメントがあったんで、死に物狂いでやるんだったら、とことんこっちも死ぬ寸前くらいまでやらせてあげようかな」と意気込みを受け止めている。正捕手返り咲きへ、沖縄でバットを振り続ける。【久永壮真】

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