先発ローテーション有力候補だった阪神高橋遥人投手(25)の開幕1軍が絶望的となった。17日、球団は高橋が沖縄県内の病院で右脇腹の筋挫傷と診断されたと発表した。沖縄・宜野座キャンプで別メニュー調整となり、当面ノースロー。矢野燿大監督(52)は「開幕だけが目標じゃない」とし、完治してシーズンの戦力となることを願った。

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飛躍を期待される左腕が、開幕に間に合わない見込みとなった。右脇腹の筋挫傷と診断され高橋は「投げているボールも良くなかった。ボールは投げられないですけれど、状態を上げられるきっかけに出来たらなと思います」と懸命に前を向いた。

前日16日に楽天との練習試合に6回から登板し、3回4安打1失点。登板中に右脇腹に違和感を感じ、沖縄県内の病院を受診した。「うまくいくボールが投げられない部分があったんで、いろんなところで頑張っていた部分が脇腹にきたのかなという感じです」。脇腹を痛めたのは初めてで、この日から別メニュー調整。当面はノースローで状態を見ながら段階を上げていくことになりそうだ。

昨季5勝4敗だった高橋は、貴重な左腕の1人として開幕ローテ入りを見込まれていた。最速152キロのキレある直球を武器にするが、今キャンプでは「脱力投法」を試すなど模索していた。16日も最速146キロの一方、130キロ台の直球も多投。「フォームは合わなかったのはずっとなので、もしかしたら蓄積されていたのかもしれない。どちらにせよ、よく考えてみたら、やっぱり軽く投げるのでは抑えられないと思う。自分の状態が悪いのが、悪かったんだと思います」。納得のいく直球を取り戻そうと、ずっと試行錯誤していた。

矢野監督は高橋の早期回復を願いながら前向きな言葉を掛けた。「みんな開幕1軍、開幕スタメンでというのは目標になるけど、それだけが目標じゃない。遥人も、次の目標を見つけてシーズンが終わった時にいいシーズンにすればいいだけ」。昨季は左肩のコンディション不良で初登板が8月と出遅れたが、巨人相手に3勝を挙げるなど目覚ましい活躍を見せた。16年ぶりのリーグ優勝を目指す上で、高いポテンシャルを持つ高橋の存在は必要不可欠だ。現状のメンバーで先発争いを繰り広げ、完治した左腕が再び大きな戦力となる日を待つ。【磯綾乃】

▽福原投手コーチ(高橋について)「無理に開幕って言って焦っても、本当に治って良ければいいですけど、中途半端だけは一番良くないし、ぶり返すのも良くない。まずはしっかり治すことが大事」

<脇腹を筋挫傷した主な投手>

◆大野豊(広島)94年6月15日のブルペン投球中に、左腰から脇腹にかけての痛みを訴え、17日に出場選手登録を抹消。7月1日に再登録され、同日阪神戦でセーブ。

◆吉見祐治(横浜)05年7月1日の投球練習中に痛め、翌日2日に抹消。1軍再昇格した9月11日巨人戦で先発した。

◆久保康友(阪神)11年6月5日オリックス戦降板後「左腹斜筋挫傷」と判明。同29日にブルペン投球を再開し、7月8日2軍ソフトバンク戦で実戦復帰。1軍登板は同29日横浜戦。

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