巨人の1軍主力を示すS班の職人たちが実戦に入る。22日、1軍那覇キャンプは紅白戦が行われる。東京ドームでキャンプインして、直接那覇入りし、調整ペースを任されてきたS班の面々も出場する。試合前の打撃練習の最終組に入った坂本、中島と亀井、梶谷の準備力が際立った。

梶谷は石井コーチとマンツーマンでトス方向を変えてティー打撃。坂本も真横、斜めからのトスで、打球角度を操りながら確認した。坂本、亀井はロングティー打撃でポール際への打球の軌道を追った。中島は3人よりも早くグラウンドに出て、バントケージで地味な基礎練習を繰り返した。準備段階での確認事項が、若手選手よりも多い。状態を上げる、確認するための、それぞれのスタンダードが確立されている。

繰り返して反復することで染みついた感覚はわずかな変化を見逃さない。打撃ケージに入った亀井は2球打ったあとに打席を外した。打撃投手と打席の角度に違和感を覚えた。マウンドの位置、角度を調整してから打撃練習を再開した。亀井の前にケージに入った若手は何も疑わずに打った。亀井は“いつも”との違いを、たった2球で感じて、正した。ベテランだからできる技術はない。鍛錬を積み、根気強く磨き続けてきた技術があるからベテランになるまでプレーが続けられている。

キャンプ序盤に亀井は「しっかりした形をつくることが今は大事だと思ってやっている。バットを内から入れるなり、やっぱり自然とできるように今は意識している」と言った。初実戦で確認したいことを問われた坂本は「特にない」と言いつつ「久しぶりの実戦なので結果というよりは、いい感じで守備も打撃もできている。強く振って、守備もちゃんと動けたら、それでいいかなと思います」。若手が見習うべきことが、S班の一挙手一投足のすべてに詰まっている。【為田聡史】