外国人不在なんて関係ないじゃん。日本人だけのDeNA打線が2回、5安打3四球に1犠打を絡めた打者11人のつなぐ攻撃で一挙6点と爆発。1回表にくらった3点差を逆転し、日本ハムを下した。8日、開幕時に全外国人10選手が不在となる見通しが明らかになったばかりだが、ドラフト2位ルーキー牧秀悟内野手(22=中大)がプロ初打点となる勝ち越し打を含む3安打。新戦力の台頭に、三浦大輔監督(47)も手応えをつかんだ。

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日本一となった98年の「マシンガン打線」をほうふつさせる攻撃だった。2回、先頭嶺井が二塁打で出ると、巨人から移籍の田中俊が四球でつないだ。同点の無死一、二塁。リーグ最少犠打だった昨季と違い、三浦監督のサインは送りバントだ。桑原が初球で決めると「初めての2番でどういう打撃を見せてくれるか見たかった」とテスト起用した牧が打席に入った。

「クワさんがバントでつないでくれ、最低でも犠飛でいいかなと。初球から甘い球をいこう」と、1ボールからの2球目を捉えた。142キロの内角直球を左翼線へ。98年生まれでマシンガン打線は「今、初めて知りました」という若武者が、プロ初打点となる勝ち越し2点二塁打。「後ろにいい打者がいるのでどうつないでいくかだけ」という意識で最高の結果を残した。

オースティンが愛用しているイメージで「ちょっとあこがれていた」黒シールの「アイブラック」をプロで初めてつけて試合に臨んだ。「ボールが見やすくなった」と3回に右前打、9回に左前打と3安打1四球。打率を3割3分3厘に、出塁率は4割1分7厘に上げた。三浦監督は「安打はもちろん四球も、点にならなかったけど(6回の)進塁打も良かった。打席の間合い、雰囲気は『おっ』と思うものを見せてくれている」。開幕スタメンも「可能性はある」と認めた。

開幕時、正一塁手候補のソト、正右翼手候補のオースティンら外国人の主軸が不在となる。だが三浦監督は「現場でコントロールできないことを嘆いても仕方ない。想定して、いないところを埋めていく」。2回は一塁を守れる田中俊、牧で勝ち越すと、3番に入った右翼細川は右前打。昨季首位打者の4番、佐野のダメ押し右前打をお膳立てした。第1打席で本塁打の宮崎と中井は四球でつなぎ、大和の二塁打でとどめを刺した。三浦監督は「安打も出たがその間、四球でつないだ。なかなか本塁打という確率は低いですから。つなぐ意識、小さな積み重ねが大事になる」と見据えた。

98年のマシンガン打線も、チーム本塁打はリーグ3位タイで、最多の642得点を挙げた。牧の背番号2の先輩、2番波留がいいつなぎ役を果たした。2月25日、宜野湾キャンプを視察した98年の監督、権藤博氏(日刊スポーツ評論家)は「三浦大輔なら思い切ってやるかも」とつぶやいた。番長監督ベイスターズは、逆境をも逆手に取って進む。【斎藤直樹】

▽DeNA宮崎(1回に左翼へ同点2ラン)「打ったのはカーブ。自分のスイングでしっかり捉えることができた。後ろにつなぐ気持ちで打席に入り、最高の結果となり良かった」

▽DeNA大和(2回に左翼線へ2点適時二塁打)「とにかく走者をかえすことを意識して打席に入りました。タイムリーになりうれしい」

▽DeNA佐野(2回に右前適時打)「ここまであまり結果が出ていなかったが、積極的に打ちにいくことができた。追加点を挙げられ、うれしい」

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▽98年日本一「マシンガン打線」主なオーダー

1(遊)石井琢朗 左 135試合 .314 7本塁打48打点39盗塁

2(中)波留敏夫 右 106試合 .273 2本塁打39打点12盗塁

3(左)鈴木尚典 左 131試合 .337 16本塁打87打点3盗塁

4(二)ローズ 右 124試合 .325 19本塁打96打点2盗塁

5(一)駒田徳広 左 136 .281 9本塁打81打点0盗塁

6(右)佐伯貴弘 左 108試合 .289 9本塁打55打点1盗塁

(右)中根 仁 右 70試合 .301 4本塁打31打点2盗塁

7(捕)谷繁元信 右 134試合 .254 14本塁打55打点1盗塁

8(三)進藤達哉 右 124試合 .241 14本塁打54打点0盗塁