阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(21=近大)が、2戦連発となるオープン戦3号ソロを放った。甲子園での西武戦に「6番左翼」で先発。2回先頭の第1打席で開幕投手を務める高橋から左翼席に運んだ。3本塁打は球団新人ではドラフト制後最多タイで、ここまで日本ハム野村、オリックス頓宮らと並んでキング。13日で22歳になるルーキーがまだまだ記録を伸ばしそうだ。

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甲子園の雨雲を切り裂くような快音に虎党がどよめいた。視線の先にいたのは、もちろん佐藤輝だ。2回の先頭打者。その初球。開幕投手に内定している高橋の真ん中から外寄りに逃げる146キロを振り切った。小雨が降り、風はいつもの浜風と逆、左から右へ吹いていたが、ものともせず左翼席へ運び去った。

「しっかり初球から振りにいくといつも意識していますし、いい形で打てました。甘いところに来たのを捉えることができたので良かった」

10日広島戦から2戦連発で、これはドラフト入団した阪神の新人では初めて。3本塁打は同最多タイと記録ずくめ。ベンチ前で分厚い胸を両手でたたくゴリラポーズも板についてきた。

3本塁打は全て逆方向。そのうち2発は甲子園と風は無関係に放り込む。矢野監督も「右バッターみたいな打球」とその弾道に驚き、「初球を一発でファウルにせんと仕留めるのはいいバッターの条件になってくると思うし、ホームランにできるのはテルの長所」とドラ1の実力をたたえた。

阪神のレジェンド助っ人も逆方向の鬼だった。同じ左打ちで通算202本塁打のバースは、甲子園での91本塁打のうち、約37%にあたる34発が左方向。「バットを内から出して逆方向に飛ぶ打球はいい打球なので、それが試合でできて良かった」。佐藤輝もそれをほうふつとさせる武器にこだわり、アーチをかけた。

試合前、刺激を受ける出来事があった。フリー打撃後、陽川に仲介してもらい、西武山川に歩み寄ってあいさつ。バットの形状についてなど野球談議を交わし、打撃練習も見た。「ホームランバッターの打球だなと。ホームランというのが一番、野球では面白いと思うので、そこは譲れないです」。18、19年と2年連続で本塁打王となった主砲との時間を肥やしに、自己紹介代わりの1発を放った。

くしくも13日は22歳の誕生日。バースと同じ日という不思議な巡り合わせの“バースデー”になる。佐藤輝は「野球人生の中でも大きな変化があった。22歳も素晴らしい年になるように頑張っていきたい」と決意を新たにした。【中野椋】

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