西武山川穂高内野手(29)が、甲子園でオープン戦2号となる逆転のグランドスラムを決めた。1点を追う6回1死満塁から、阪神青柳の3球目を左中間席へ。力みのないコンパクトなスイングで新境地を開拓しつつある主砲は、前日12日の同カードでアーチを放った阪神ドラフト1位、佐藤輝明内野手(22=近大)にも興味津々。注目ルーキーの目の前で、山賊打線の不動の4番が存在感を見せつけた。

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逆転された直後の6回1死満塁。山川は「犠牲フライでもいい」と気負わず打席に入った。変則右腕・青柳の内角高め138キロを腕をたたんで鋭く振り抜いた。詰まったかに見えた打球は左中間席まで伸び、おなじみの「どすこいポーズ」を披露。「多分ホームランを狙いすぎていたら力が入って、もっと詰まっていたと思う。ああいうバッティングは継続していきたい」とうなずいた。

話題の若虎に刺激を受けている。2回に四球で出塁した佐藤輝に、一塁ベース上で声をかけた。

山川 お前は何の悪魔の実を食べたんだ?

人気冒険漫画「ワンピース」に登場する、食べると強力な特殊能力が身に付くという「悪魔の実」。強打を連発するルーキーを「やっぱり彼は悪魔の実の能力者だと思いますね。じゃなきゃ、あんなバッティングはできない。僕が教わりたいぐらい」と“分析”。投げかけた突拍子もない質問には「『何も食べてないです』って言ってました」。

山川もボールを遠くに飛ばす“特殊能力”の持ち主だが「悪魔の実」を食べたわけではない。日々の練習と経験、たゆまぬ研究の結果、たどり着いた境地。4日の日本ハム戦(札幌ドーム)で放った1号も無死二、三塁という好機からで「得点機、大事な場面になればなるほど、ちょっとコンパクトにというか、力加減を考えながらやっていけたら、これから先もいいのかな」と手応えを得た。一方で「これ(コンパクトな打撃)ばかりやり始めると、今度はちっちゃくなり始める。ベースとしては、しっかりバットを振っていくというのは何一つ変わりはない」と、本来のフルスイングは忘れない。

怪物ルーキーに刺激を受けた獅子の主砲。“特殊能力”に磨きをかけ、さらなる進化を遂げていく。【鈴木正章】

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