亀の“コトイチ”代打弾で開幕を高らかに告げた。巨人亀井善行外野手(38)が、9回打ち切りの特別ルール適用直前の9回に代打サヨナラ弾を決めた。DeNA守護神三嶋のスライダーを完璧に捉えた。開幕戦での代打サヨナラ弾はプロ野球史上初。自身通算99本目の1発で大台に王手をかけた。プロ17年目、チーム最年長38歳のベテランが立役者となり、リーグ3連覇、日本一奪回へ劇的なスタートを切った。

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「完璧でした。今年まだ始まったばかりでしたけど、今年一番の当たりでした」。開幕戦のお立ち台で亀井が照れくさそうに言った。球春の高揚感を主戦場で体現した。同点に追いつかれた直後の9回。先頭で代打をコールされた。「監督の意図を感じながら。そういうものを見ながら準備している」と息がぴったり合った。

百戦錬磨の経験が無数のセンサーを動かした。次打者席からDeNA守護神三嶋の投球練習をチラ見しながら「ストライクが入ってなかった。1ストライクまでは見ようかなと」。初球151 キロ 直球はボール、2球目138 キロ スライダーを見逃してカウント1-1はプラン通りだった。スイッチを入れた3球目は同じ軌道で139 キロ スライダー。ファーストスイングは最高の感触が残った。確信して駆けだすダイヤモンドへの第1歩。周回のゴール地点で後輩たちからのウオーターシャワーを気持ちよさそうに浴びた。

14年間愛用してきた“無敵のチャンピオンベルト”も劇的弾を後押しした。練習、試合、共通でシワだらけのベルトをいちずに愛用してきた。5つある穴の3つ目がベストコンディションを示す指標になる。「今日は3つ目。今年は体は完璧に仕上がっている」とうなずいた。大台まであと1本に迫る通算99号。地道にコツコツと積み上げてきた。「遅いでしょ。恥ずかしいよ。ホームラン打者じゃないからね。節目は記録にはなるけど、得点圏での打撃のほうが大事」と今までと同じように1発よりも1勝を追う。

今季限定で採用されている9回打ち切り特別ルールの適用寸前で開幕白星発進をもぎ取った。ファンとともに21年のプロ野球が開幕した。「緊張感というか、いろいろと経験もしてきた。苦しいことも。こういうところで力を出す。今までの経験が力になっている」と亀井。今年一番の当たりじゃない。もっと、もっとすごい一打、歓喜、感動がこの先の戦いで待ち受けている。【為田聡史】

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▽巨人原監督(亀井について) 最後、決めてくれたのは、いろんな意味で大きい。いろんな人をカバーしたり、チームに明日への活力をさらに与えてくれた。素晴らしいホームランでした。見事ですね。

▽巨人岡本和(1回無死一、二塁、左中間フェンス直撃の適時二塁打) いい流れで来た最初の打席で打てて良かった。