3位広島が、首位阪神を下した。6回、クロンが来日1号となる勝ち越しのソロを放った。先発の床田が今季初勝利。栗林は3セーブ目。

広島前監督の緒方孝市氏(52)が注目プレーを解説。



チーム
阪 神
広 島×

【神】伊藤将、加治屋、岩貞、桑原

【広】床田、中田、大道、栗林

【本】クロン1号ソロ(6回)菊池涼1号ソロ(7回)


【緒方孝市氏の評論】

-広島が終盤に競り勝った

広島は30日に続き、リリーフ陣が役割を果たした。このまま乗っていきたいが、流れを相手に渡しかねない走塁は反省すべきだ。勝ったから良かったではない。 阪神は近本の調子が上がらないと、打つだけの攻撃になる。8回の打席はファウルで粘っているのではなく、当てるだけで精いっぱいの形になっている。昨年も開幕からの不振を抜けた後に、チーム全体の攻撃力が上がった。近本が出塁しなければ、攻撃のバリエーションが増えない。開幕カードはよく打ったが、やはり打線は水ものだ。


試合経過

<1回>

【阪神】

1番近本  一ゴロ

2番糸原  中安

3番マルテ 併殺

広島対阪神 1回表阪神1死一塁、バットを折られ三ゴロ併殺に倒れるマルテ(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 1回表阪神1死一塁、バットを折られ三ゴロ併殺に倒れるマルテ(撮影・清水貴仁)
プロ野球広島対阪神 広島先発の床田(撮影・加藤孝規)
プロ野球広島対阪神 広島先発の床田(撮影・加藤孝規)

【広島】

2死一塁から鈴木誠がファールフライ

1番田中広 左飛

2番菊池涼 空振り三振

3番西川  内野安打

4番鈴木誠 捕邪

【緒方孝市氏の評論】

-初回に阪神近本が一ゴロで凡退。開幕から調子が上がらない

手に力が入って、スムーズにバットが出てこない。インパクトの時に、手の力感を求めているのだろう。力が入ると、右肩が早く開いてしまう。下半身主導で、インパクトの時に力が伝わるようなスイングができていない。

-阪神伊藤将がプロ初先発

初回を見た印象は、真っすぐに逆球がない。しっかりと制球できている。縦の変化球も、いい高さから落ちている。ランナーを出した時に、どう対応するかだ。オープン戦などで長いイニングを投げていないので、継投も鍵を握るだろう。

プロ野球広島対阪神 阪神先発の伊藤(撮影・加藤孝規)
プロ野球広島対阪神 阪神先発の伊藤(撮影・加藤孝規)

<2回>

【阪神】

1死一塁から佐藤輝が外のスライダーで空振り三振

4番大山  中飛

5番サンズ 四球

6番佐藤輝 空振り三振

7番梅野  空振り三振

【緒方孝市氏の評論】

-佐藤輝は空振り三振に倒れた

前日の試合で、広島森浦の抜けた変化球をとらえて、一、二塁間を破った。広島バッテリーにすれば、中途半端な球速のボールは投げたくない。速球を使った攻め方になる。2回の打席は1、2球目と速い球で内角を意識させる配球だった。狙ったコースに投げきれなかったが、佐藤対策の意図が見えた。

-広島床田は3回無失点の立ち上がり

キャンプから監督に厳しいコメントを出されたが、それも期待の表れだ。先発陣で左は床田だけ。それだけ経験も積んできたし、本人の自覚がうかがえる。2月に肘の張りがあったが、序盤の投球を見れば、ストレートの走り、変化球も切れている。打者一巡した中で、そういった故障の不安は感じられない。

広島対阪神 2回表阪神1死一塁、空振り三振に倒れる佐藤輝明(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 2回表阪神1死一塁、空振り三振に倒れる佐藤輝明(撮影・清水貴仁)

【広島】

5番メヒア 左飛

6番堂林  右飛

7番クロン 左安

8番会沢  遊ゴロ


<3回>

【阪神】

8番山本  空振り三振

9番伊藤将 左飛

1番近本  投ゴロ


【広島】

1死から一塁ランナーの田中広が盗塁死。2死から菊池涼がフェンス直撃の二塁打。2死一、二塁から鈴木誠が中安打で先制

9番床田  見逃し三振

1番田中広 右安

2番菊池涼 左二塁打

3番西川  四球

4番鈴木誠 中安

5番メヒア 遊飛

【緒方孝市氏の評論】

-伊藤将は1死から田中広、菊池涼に連打を浴びるなど苦しい投球になった

阪神バッテリーは、打者1巡目で直球から入り、変化球を使うという配球だった。ただ2巡目で、同じことをすれば、打たれる可能性がある。梅野は変化球から入る配球を選択したが、新人投手なので、この配球の変化に対応できないように見える。田中広らボール先行になってしまった。

-3回1死から出塁した田中広はけん制で飛び出し、タッチアウト

開幕から広島の攻撃を見ると、この場面はエンドランのサインが出る。前日も2度仕掛けていた。阪神ベンチ、梅野は2度けん制を指示。やるべきことをやって、アウトにした。ただ伊藤将はその後もボール先行で苦しんだ。鈴木誠は状態は良くないが、流れに乗って、先制打が出た。

広島対阪神 3回裏広島1死一塁、けん制で飛び出した走者田中広をアウトにする伊藤将(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 3回裏広島1死一塁、けん制で飛び出した走者田中広をアウトにする伊藤将(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 3回裏広島2死一、二塁、中前へ先制適時打を放つ鈴木誠(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 3回裏広島2死一、二塁、中前へ先制適時打を放つ鈴木誠(撮影・清水貴仁)

<4回>

【阪神】

1死一、二塁からサンズがライトへ同点の適時打。1死一、三塁から佐藤輝が三振。続く梅野がセンターへの適時打で勝ち越し

2番糸原  左安

3番マルテ 右飛

4番大山  左安

5番サンズ 右安

6番佐藤輝 空振り三振

7番梅野  中安

8番山本  三ゴロ

【緒方孝市氏の評論】

-阪神は4回に先頭の糸原が2打席連続でチャンスメーク

糸原の打席でも見られたが、床田の課題は、左打者の内角を攻めきれないところにある。そして2打席目ともセンターから逆方向にヒットを打たれた。

-佐藤輝はチャンスで初球に左翼ポール際に大ファウルを放ったが、空振り三振

三振がクローズアップされるが、初球の本塁打性の打球は紙一重だ。あれが入っていれば、3ランでヒーローになる。負ければ、1人でプレッシャーを受ける場合があるが、梅野が勝ち越しのタイムリーを打ったことで、佐藤輝の三振も消えた。これがチームで戦う上で、大事なことだ。佐藤輝に関しては、仕留められる球があった。失投をひと振りで仕留められるバッターは、率を残せる。昨年の大山はファーストスイングを仕留めたことで、タイトル争いできた。佐藤輝も経験を積めば、とらえられる。

プロ野球広島対阪神 4回表阪神1死一、二塁、サンズは同点右適時打を放つ(撮影・加藤孝規)
プロ野球広島対阪神 4回表阪神1死一、二塁、サンズは同点右適時打を放つ(撮影・加藤孝規)
プロ野球広島対阪神 4回表阪神1死一、二塁、サンズの同点右適時打で糸原が生還(撮影・加藤孝規)
プロ野球広島対阪神 4回表阪神1死一、二塁、サンズの同点右適時打で糸原が生還(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 4回表阪神1死一、三塁、左へ大ファウルを放つ佐藤輝明(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 4回表阪神1死一、三塁、左へ大ファウルを放つ佐藤輝明(撮影・清水貴仁)
プロ野球広島対阪神 4回表阪神2死一、三塁、梅野は勝ち越しの中前適時打を放つ(撮影・加藤孝規)
プロ野球広島対阪神 4回表阪神2死一、三塁、梅野は勝ち越しの中前適時打を放つ(撮影・加藤孝規)

【広島】

2死2塁から床田がレフトへの適時二塁打で同点

6番堂林  二ゴロ

7番クロン 中飛

8番会沢  右二塁打

9番床田  左二塁打

1番田中広 三ゴロ

広島対阪神 4回裏広島2死二塁、左翼線へ同点適時二塁打を放つ床田(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 4回裏広島2死二塁、左翼線へ同点適時二塁打を放つ床田(撮影・清水貴仁)

<5回>

【阪神】

9番伊藤将 空振り三振

1番近本  一ゴロ

2番糸原  中飛


【広島】

1死から一塁ランナー西川が盗塁成功。鈴木、メヒアは凡退

2番菊池涼 遊飛

3番西川  右安

4番鈴木誠 二ゴロ

5番メヒア 中飛

【緒方孝市氏の評論】

-5回に西川がけん制に飛び出した

あの走塁は、投手が動作に入った時にスタートを切るギャンブルスタートだ。ただし状況は、4番鈴木誠の打席でカウント3-1。相手の守備に助けられたが、その作戦を取る必要があるのか。3回にも田中広が飛び出した。前日も2度けん制でアウト。機動力野球を掲げるのは分かるが、これは積極的な走塁ではない。

広島対阪神 5回裏広島1死一塁、走者西川はけん制飛び出しも一塁手マルテの悪送球で二盗成功となる、遊撃手山本(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 5回裏広島1死一塁、走者西川はけん制飛び出しも一塁手マルテの悪送球で二盗成功となる、遊撃手山本(撮影・清水貴仁)


<6回>

【阪神】

3番マルテ 左安

4番大山  右飛

5番サンズ 右飛

6番佐藤輝 空振り三振

【緒方孝市氏の評論】

-6回の佐藤輝は3打席連続の空振り三振

この打席は打てるボールがなかった。サンズと同様に、内角を徹底して攻められた。でもあれだけ厳しいボールを投げられても、形を崩さずにスイングできている。佐藤輝は絶対に打つよ。そのためにもチームが勝たないといけないし、前後の打者がカバーしないといけない。

プロ野球広島対阪神 6回表阪神2死一塁、佐藤輝は三振(撮影・加藤孝規)
プロ野球広島対阪神 6回表阪神2死一塁、佐藤輝は三振(撮影・加藤孝規)


【広島】

阪神先発の伊藤将が5回2失点で降板。2番手は加治屋。1死からクロンがレフトへの1号ソロで勝ち越し

6番堂林  遊ゴロ

7番クロン 左本塁打

8番会沢  投ゴロ

代打安部 右二塁打

1番田中広 二ゴロ

広島対阪神 6回裏広島1死、左越え来日1号本塁打を放つクロン(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 6回裏広島1死、左越え来日1号本塁打を放つクロン(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 6回裏広島1死、左越え来日1号本塁打を放つクロン(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 6回裏広島1死、左越え来日1号本塁打を放つクロン(撮影・清水貴仁)

<7回>

【阪神】

広島先発の床田が6回2失点で降板。2番手は中田。

7番梅野 二ゴロ

代打糸井 見逃し三振

代打中野 投ゴロ


【広島】

阪神3番手は岩貞。先頭の菊池涼が1号ソロ

2番菊池涼 左本塁打

3番西川  空振り三振

4番鈴木誠 中安

代打長野  二ゴロ

6番堂林  空振り三振

広島対阪神 7回裏広島無死、左中間への本塁打で追加点を奪う菊池涼(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 7回裏広島無死、左中間への本塁打で追加点を奪う菊池涼(撮影・清水貴仁)
プロ野球広島対阪神 7回裏広島無死、左中間越え本塁打を放った菊池涼介を迎えるクロン(中央)と安部(左)(撮影・加藤孝規)
プロ野球広島対阪神 7回裏広島無死、左中間越え本塁打を放った菊池涼介を迎えるクロン(中央)と安部(左)(撮影・加藤孝規)

<8回>

【阪神】

広島3番手はドラフト3位大道。1死一、二塁から大山がショートへの併殺打で無得点

1番近本  見逃し三振

2番糸原  中二塁打

3番マルテ 内野安打

4番大山  併殺

プロ野球広島対阪神 8回表阪神、広島三番手の大道(撮影・加藤孝規)
プロ野球広島対阪神 8回表阪神、広島三番手の大道(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 8回表阪神1死、左中間へ猛打賞となる二塁打を放つ糸原(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 8回表阪神1死、左中間へ猛打賞となる二塁打を放つ糸原(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 8回表阪神1死一、二塁、チャンスで遊ゴロ併殺に終わる大山(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 8回表阪神1死一、二塁、チャンスで遊ゴロ併殺に終わる大山(撮影・清水貴仁)

【広島】

阪神4番手は桑原

7番クロン 死球

8番会沢  投犠打

9番安部  空振り三振

1番田中広 中飛


<9回>

【阪神】

広島4番手は栗林。三者凡退で試合終了。栗林は3セーブ目

5番サンズ 中飛

6番佐藤輝 遊飛

7番梅野 見逃し三振


スタメン

【阪神】

1(中)近本

2(二)糸原

3(一)マルテ

4(三)大山

5(左)サンズ

6(右)佐藤輝

7(捕)梅野

8(遊)山本

9(投)伊藤将

【広島】

1(遊)田中広

2(二)菊池涼

3(中)西川

4(右)鈴木誠

5(三)メヒア

6(左)堂林

7(一)クロン

8(捕)会沢

9(投)床田