弟の活躍を励みにしてほしい。2年目右腕の巨人太田龍投手(22)が1日、右肘関節の手術を受けた。弟はこの日、東海大相模とのセンバツの決勝に臨んだ明豊(大分)・太田虎次朗投手(3年)。惜しくもサヨナラ負けを喫したが「9番投手」で先発出場し7回2失点と好投。打っては3打数3安打をマークした。準優勝で最後は涙をのんだが、チームを初の甲子園決勝に導いた。

2人の「龍」と「虎」という名前には父竜也さん(48)の願いが込められた。掛け軸などで龍と虎が並び立つ「龍虎双璧」が由来。小さい頃から2人でキャッチボールをした。父の期待通り、切磋琢磨(せっさたくま)した。そしてプロ野球選手の兄と、甲子園で活躍した弟に成長した。

太田は19年ドラフト2位でJR東日本から入団。昨季は2軍で先発ローテーションの一角を担い、イースタン・リーグ最多勝となる5勝をマークした。れいめい(鹿児島)3年生の16年夏は、準々決勝で敗退。甲子園出場は果たせなかった。昨夏、甲子園で行われた交流試合に弟の虎次朗が出場した際には「前まではただのかわいい弟でしたが、最近は甲子園に出て弟の存在も広まっていてうれしい。『自分ももっと頑張らないと』という気持ちです。お互いにいい刺激になってると思います」と自分のことのように喜んでいた。

自身が手術を受けた日に弟は決勝戦で敗れた。お互いにこの日から再スタートをきる。まずはリハビリに専念し、手術の傷が癒えてから弟の活躍を刺激に完全復活を期す。プロ初の1軍マウンドを目指して、昇り龍のように上昇してくれるはずだ。【久永壮真】