カープキラー襲名! 阪神秋山拓巳投手(29)が、今季初マウンドで初勝利をつかんだ。「この広島戦に当てられているという意味を自分なりにしっかり考えて、初回からしっかり投げることは出来たと思います」。すいすいと投げ続けて7回5安打2失点。昨季4勝0敗だった相手を今年も抑え込んだ。

緩いカーブにフォーク、変化球を低めに投げ分け、凡打の山を築いた。5回まで無安打無四球の完全試合ペース。「4回に気づいて、めったにないことだったので、自分から野手には『気にすんなよ』っていう話はしてました」。記録を意識した野手陣が硬くならないよう、気遣う余裕も見せた。

6回に先頭のクロンにこの日初安打を許し、7回は連打から2点を失ったが、流れは渡さなかった。「チームが3連勝して連敗していたんで、そこを一番気を付けた。3連敗するわけにはいかないなというのは強かった」。投球もふるまいも、全てが頼もしかった。

11勝を挙げた昨季からさらに進化した。踏み出す歩幅を6歩から6歩半に。カットボールは曲がりを小さくし、磨きをかけた。球団関係者との会話の中では、後輩を思う言葉も増えた。自分の投球だけでなく、後輩が試行錯誤する様子も陰で見守っている。今春の1軍キャンプには、19歳の西純が最年少で参加。「僕が面倒を見ます」と力強く言い切ったという。今年でプロ12年目の30歳。チームを引っ張る自覚にあふれている。

矢野監督は「アキがしっかりした投球をしてくれたというのは一番の勝因だとは思う。アキらしく丁寧にね」と、連敗を止めた右腕の好投をたたえた。これで昨季から広島戦5連勝。「チームは優勝に向かって必死に頑張っているので、1つでも多く力になれるように、みんなで力を合わせて頑張りたい」。頂点を目指して、白星を積み重ねる。【磯綾乃】

▼阪神先発の秋山が7回2失点の好投で勝利投手に。阪神の先発投手は今季6試合で35イニング2/3を投げ自責点10、先発防御率は2・52。セ・リーグでは巨人の2・31、広島の2・41に次ぎ3位。ただし先発した全6投手がいずれも責任イニングの5イニングを満たし、失点が3以下は阪神だけ。先発投手陣の安定感が際立っている。