高卒2年目の楽天黒川史陽内野手が、今季初の1軍昇格&初スタメンで決勝打を放ち、10代最後の日を、最高の形で締めくくった。

大人びた思考回路で攻めた。同点の7回無死二塁。日本ハム左腕・堀の初球外角低めスライダーに下半身を粘らせ、食らいついた。引っ張り込み、一塁線を破った。二塁へヘッドスライディング。白い歯をこぼしながら、右腕を突き上げた。

「前の打席から自分に対する攻め方へのイメージが付いていました。3打席目で簡単にストライク取ってくる感じではなかったので、引っ張れる球を待ちながら、外に逃げていくボールが来るのかなというのは思って、その中でも引っ張れるボールを待ちながら打席に入りました」。

1年目の昨季、プロ初打席で犠飛を放ち初打点をマーク。智弁和歌山時代には1年夏から5季連続で甲子園に出場した勝負強さを見せつけた。

17日は20歳の誕生日。今季は開幕1軍を逃し、昇格の一報は15日夜に聞いた。「ファームにいるときも1軍で活躍するためにどうやったら活躍できるのかなって常に思っていた。自分は左バッターでランナーを進める場面での右方向へのバッティングというのは結構練習しました。バッティング練習の中でもそれは取り入れているので、それがいきたんじゃないかなと思います」。“練習のための練習”ではなく“試合のための練習”へと文字通りに結果を出した。

試合終了は午後9時11分。今季初のヒーローインタビューを終え、ハタチまで残り3時間足らず。「正直、毎日野球のことを考えてやってきた。野球が自分は好きなんですけど、それが今になっても野球が好きで良かったなと思いますね。10代はずっと野球のことを考え続けて、良かったなというのはあります」と走馬灯のように過ぎ去った19年間を振り返り、「20代ではもう子供じゃないので、周りの人から成長したなと思われるような姿を見せたいです」と抱負を示した。「誕生日よりも明日の試合の準備が大事。そんなに甘くないとは思いますが、誕生日に最高の結果を残せるようにやっていきたいです」。無邪気に白球を追いかけた野球少年が、オトナの階段を1歩ずつ、ではなくダッシュで駆け上がる。【桑原幹久】

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