ソフトバンク武田翔太投手(28)が、チーム初完投で1分けを挟んで3連勝に導いた。西武戦で9回5安打2失点、128球の熱投。「長いイニングを投げて、チームが勝てて良かった。野手のみなさんのおかげです」。18年以来、3年ぶりの完投で3勝目をつかみ、工藤監督も「最後もベンチで『武田、頑張れ』と応援しているのを見ると、チームが1つになっていると感じました」と喜んだ。

武田はルーキーだった12年に8勝の衝撃デビュー。15、16年には2年続けて2桁勝利を挙げ、順調に階段を上っているように見えた。だがその後は4年間で17勝。昨オフには「ここから上がるか下がるか、分岐点」と、崖っぷちにある自身の立ち位置を表現した。

今春キャンプでは「原点回帰」し、デビュー当時に代名詞だったカーブを軸に据えた。「カーブは自分の生命線。最近はカーブが入らなくて、真っすぐ、スライダーに頼って力押しみたいな感じだった」。この日は128球の約20%となる26球がカーブ。「球数は考えてなかった。中継ぎにも負担がかかっているし、先発が仕事をしないといけないとみんな思っている」と、緩急を操りスイスイ投げた。

西武には開幕から3カード勝ち越せずにいており、初めてカード初戦を勝った。また、火曜日の先発勝利は4月6日の日本ハム戦の千賀以来となった。かつて「未来のエース候補」と呼ばれた男が、千賀ら不在の中で、チームの柱として輝こうとしている。【山本大地】