任務完了! 西武栗山巧外野手(37)が3号ソロ本塁打を放ち、通算1948安打とした。1点リードの6回、鷹を突き放す大きな1発。

プロ20年目のベテランの中押し効果もあり、終盤の大量得点で快勝を収めた。チームの連敗は2でストップし、同一カード3連敗を阻止。順位は5位にとどまっているが、残り52本となった節目へのカウントダウンとともに、山賊の逆襲が始まる。

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任務を遂行した栗山が拝借した控えめの「どすこい」を披露した。6回先頭の打席、初球。ソフトバンク石川のカーブをバックスクリーン左に運んだ。ダイヤモンドを1周し、ベンチでのエアハイタッチを終えると左翼席へ両手を掲げた。「“どすこい”です(笑い)。バックスクリーン左なんで“どすこい”いっとこうかな、と。山川のような打球だったのではと自分でも思ってます」。手に残る手応えもチームにとっても大きな1発だった。

前夜は9回に勝ち越され、2連敗で迎えた3戦目。「3タテだけは意地でも阻止しようと個人的に思っていた。3タテはアカンですよね。やられたらやり返すんだという気持ち。気持ちは出さなアカンと思うし、絶対勝つという気持ちはより前に出さないと」。1点差勝負の展開で、2点差に広げる1発にベンチで「任務完了です!」。クールな栗山の口を突いたひと言に呼応するように、7回に4得点。打線を目覚めさせる呼び水となった。

20年目のベテランは、グラウンド外での過ごし方も変わってきた。遠征先の宿舎ではタブレットで自分の映像とにらめっこ。気になれば、その場で素振りを始めることもある。家では4人の子どもたちの世話もする。空いた時間に、そこでもタブレットを手に取る。「今はどこでもすぐに情報が入りますから。しかもピンポイントで見られるんでね。試合の流れも大事ですが1打席1打席どう立ち向かえるか。こんな便利なもの、使わない手はないですよね」。20年前はなかった文明の利器を使いこなす。

通算2000安打へのカウントダウン“クリメーター”は残り52。負傷離脱から戻ってから、同期の中村とクリーンアップを担う。「価値ある1本を積み重ねていければ」。勝つための1本を繰り返し、偉業へ近づく。【栗田成芳】