実業家の堀江貴文氏(48)が26日、プロ野球独立リーグの「九州アジアリーグ」参入を目指す新球団「福岡北九州フェニックス」の設立にあたり、オンラインで会見し、野球ファンの拡大への思いを吐露。さらに、日本野球機構(NPB)と連携し、将来的には日本の野球市場をメジャーリーグに対抗する組織に育てたい夢も語った。

「めちゃくちゃ目新しいことを考えているということでもないんですけど、スポーツを見に来る人たち、ひとつの大きな考え方としてコアなファン層もそうなんですけど、ライトな人たち。たまにしか野球を見ない人たちを、いかに球場に来てもらうかというところに力を入れたい」

堀江氏は「より野球以外の部分の楽しみをたくさん作っていく。野球に力を入れないというわけではないんですけど、同じように(野球以外にも)力を入れていきたい」と、野球ファン拡大への思いを語った。

独立リーグそのものを「裾野が広がる」ととらえ、参入を決意。「NPBで戦力外通告されるかされないかというところは実力もあると思うんですけど、たまたまポジションが空いてないとかそういう問題があって」と、現状、NPBでプレーする選手にも言及した。

「たまたま戦力外通告されるような、でも実力のある選手がいったん独立リーグで調整して、注目されて…。選手もコーチも、人的交流が増えれば増えるほど、その連携が強化できる、と。(そうなれば)日本のプロ野球界の底上げができるかな。最終的にはメジャーリーグに対抗できるような、ひとつの基礎になればいいなと思います」

NPBとの連携強化で人材を再生、育成し、メジャーへ対抗するリーグにしたいとの野望も口にした。

「九州にもっと独立リーグのチームが増えていけば、もう1球団増やすという話になったときに、選手を供給できる礎になっていけばいいのかな。僕は近い将来、検討の余地が来ると思っているんですけど、世界で一番経済発展しているのがアジア。そういったところで九州が盛り上がって選手をたくさん供給できるという話になってくると、スムーズかなと思います」

野球人気の高い九州から、野球人口拡大へとつなげたい考えも示した。

堀江氏はライブドア社長だった04年に、球界再編の最中にあったプロ野球参入を目指したこともあった。今回のリーグ参入が発表された22日には、自身のツイッターを更新し「フェニックス、その名の通り不死鳥で17年ぶりの復活です」と投稿していた。

九州独立プロ野球機構は昨秋に設立され、今年3月に開幕。熊本火の国サラマンダーズと大分B-リングスの他、ソフトバンク3軍などとの交流戦も行っている。

◆堀江貴文(ほりえ・たかふみ)1972年(昭47)10月29日生まれ、福岡県出身。東大在学中の96年、ホームページ制作請負会社「オン・ザ・エッヂ」を創業し、04年にライブドアと社名変更。05年衆院選に、広島6区で無所属出馬も落選。活動はロケット開発事業、文筆業、医療関係、グルメ関連アプリ、ミュージカル俳優など多岐にわたる。

◆堀江氏と球界 2004年(平16)6月30日、ライブドアの堀江社長が、近鉄の球団買収に乗り出すことを表明。すでに近鉄とオリックスの合併交渉は基本合意に達していたが、堀江氏は同7月4日、近鉄-オリックス戦が行われている大阪ドーム(現京セラドーム大阪)の右翼席に登場。大歓迎を受けた。その後、近鉄はオリックスと合併。新球団の設立を目指し楽天と争ったが、承認を受けたのは楽天だった。堀江氏の球界参入は幻と終わった。

◆九州アジアプロ野球機構 昨秋設立され、今年3月に開幕。現在は熊本火の国サラマンダーズと大分B-リングスのホーム&アウェー36試合のほか、ソフトバンク3軍、四国IL球団などとの交流戦も含め、年間80試合を予定している。熊本はソフトバンクなどで活躍した細川亨氏が監督、元ソフトバンクの馬原孝浩氏がコーチ兼ピッチングGMを務める。大分は昨年までソフトバンクでスコアラーだった広田浩章氏が監督。元オリックス白崎が選手兼コーチで所属している。