阪神がセ・リーグ首位の強さを見せつけた。

2度追いつかれ、7回には逆転を許すノーガードの殴り合いを展開し、最後は9回に一挙5点を奪った。中でも初の1試合3発の佐藤輝について、矢野燿大監督(52)は感謝と驚きの言葉を並べた。「いやあすごかったなあ。オレの生涯でも忘れることできひん試合の1つになるな。3本目も追い込まれて速い球を一発で仕留めたというのは、すべてが見事、チームを救ってくれた」。最後は相手クリーンアップをスアレスが3者連続空振り三振でリーグトップの15セーブ目を挙げ、守護神の差を見せつけた。

6試合無安打だった正捕手梅野を外し、坂本をスタメンマスクに起用。だが、試合前の打撃練習で指揮官自ら梅野を熱心に指導していた。途中出場した梅野が9回の先頭で二塁打を放ち、大逆転劇のきっかけをつくった。「もちろん。リュウ(梅野)が粘りながら出てくれたところから始まっているし。ずっと出ているし、今日は休ませたかったんだけど、逆に自分で切り替える1試合にできた。チームにとっても大きい」と喜んだ。

今季初の指名打者制でサンズを指名打者、左翼にはロハスを入れた。山賊打線のお株を奪う4発を浴びせ、1、2番は足で揺さぶるなど隙のないオーダーで攻め立てた。46試合目で、30勝に両リーグ一番乗り。優勝した03年星野阪神の45試合に次ぐ2番目のスピード記録と、今年の虎の強さは本物だ。【石橋隆雄】