中日柳裕也投手(27)が9回1安打無失点で、3年ぶり2度目の完封勝利をマークした。22イニング連続無失点も継続させ今季5連勝で5勝目。防御率1・41、81奪三振は両リーグトップ。19年から継続する交流戦5戦5勝の連勝も継続させた。2位ロッテとの初戦を制し、チームも交流戦首位を堅持。与田監督が次世代エースに指名する右腕が竜の躍進を支えた。

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竜の次世代エース候補がロッテ打線にキレッ、キレッの投球を見せつけた。攻撃型2番に打点、本塁打2冠のマーティンを配置。レアードと2人で27発、70打点をたたき出す強力打線を封じ込めた。直球とスライダー、カットボール、チェンジアップなどのコンビネーションで惑わせ、6回の代打加藤に許した左前打1本で投げ抜いた。

「ストライクゾーンの中でどんどん勝負できたのが良かった。自分のボールを操る感覚が良かった」。18年以来、2度目の完封。2時間12分で終えた107球の投球内容に自ら合格点を与えた。

5月25日のソフトバンク戦は7回無失点。4勝目を手にすると頭をロッテ戦に切り替えた。映像でロッテ打線の各打者を確認しながら攻略法をイメージ。この日は、走者なしでもクイックを交えるなど、自慢の制球だけでなく、タイミングを外して、相手打線を翻弄(ほんろう)し続けた。

5月16日ヤクルト戦から続く無失点を22イニングに伸ばした。防御率は1・41に向上、8個上乗せした奪三振も「81」に。2部門で両リーグトップをキープした。今季のチーム完投一番乗りを決めたが、表情は緩まない。「3年ぶり(完封)…、3年もしてなかったのか。もっとしないといけない」。

次世代エース候補と期待する右腕に辛口コメントを続けた与田監督も「柳につきる。今まであんまり褒めていないが、よく頑張った」と右腕の投球に脱帽した。

柳は19年から交流戦5戦5勝。チームの首位を守り抜いた。スタンドからは19年に授かった長男ら家族が父の勇姿を見届けた。「いい姿を見せられて良かった。(長男には)もちろん癒やされますし、かっこいいところを見せられるように」。父の顔に戻ったとき、笑みがはじけた。【伊東大介】

▼柳が1安打に抑えて1-0の完封勝利。被安打1で1-0完封勝利は、16年9月28日西武戦の大谷(日本ハム)以来で、交流戦で記録した投手は初めてだ。この試合は初回の1点だけの「スミ1完封」。被安打1でスミ1完封の投手は、77年7月14日広島戦の鈴木康(ヤクルト)以来44年ぶり。中日の投手では、48年清水が10月23日金星戦で記録して以来、73年ぶり2人目。