雨上がりの甲子園に突き刺した。オリックスの高卒2年目紅林弘太郎内野手(19)が8回に値千金の勝ち越し4号2ランを放った。

「打球が上がらなかったので、どうかなぁと思ったんですけど、感触はよかった。あんまり(ダイヤモンドをまわった)記憶は(残って)ないですね」

初体験の甲子園弾に笑みが絶えない。同点の8回1死一塁、同郷静岡の先輩・岩崎の140キロを捉え、バックスクリーン左に放り込んだ。「中嶋監督に(開幕から)ミスしても使ってもらっていた。何とか恩返ししようと思った。初めて恩返しできてよかった」。孝行息子は、迷わず言葉を並べた。

19年ドラフト2位で駿河総合からオリックスに入団。高校通算40本塁打を放ってきた、未来の大砲候補は19歳だ。3月26日、西武との開幕戦(メットライフドーム)。致命的な守備のミスを犯し、チームは敗戦した。「本当に、申し訳ないです…」。初の開幕1軍&初の開幕スタメンに「足が震えてしまって…」と声も震わせた。

毎日、訪れる試練。クタクタになるまで練習し、試合では神経を研ぎ澄ませる。「結構、疲れて、部屋とか、ホテルとか帰ったら、いっぱい食べてすぐ寝る。(寝付けなかったことは)ないですね」。増量にも成功し、現在は98キロ。186センチの大型遊撃手は、次第に1軍の空気にも慣れた。

中嶋監督は19歳の成長を「(普段)ぼーっとしてるでしょ(笑い)」と認め「本当に前向きだというのが見える。誰もが19歳とは思っていない」と評価した。

関西ダービーに勝ち越し、借金3。4位浮上。若手が生き生きと躍動するオリックスから、目が離せない。【真柴健】