広島栗林良吏投手(24)が「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク戦の9回に登板し、ピンチを招きながら無失点で試合を締めた。開幕からの連続無失点を22試合に伸ばし、並んでいた13年河内の21試合連続を抜き、球団新記録を樹立した。チームは守護神の力投で引き分けに持ち込んだ。

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初めて自分が出した走者を三塁に進めても、栗林は冷静だった。同点の9回、2死二、三塁で代打柳町を迎えた。前回登板の8日に安打を許した相手に、思い切り腕を振った。初球真っすぐは珍しく高めに抜けた。だが、2球目から低めに落とすフォーク、内寄りに153キロ直球でいずれもファウル。最後は、2球目よりも低めに落とすフォークで空を切らせた。

「もともと追い込む前から、3-2からでも全力で腕を振って投げようと思っていた。(最後の1球は)ボールになってもいいので空振りを取れるように。ボール(になっても)OKで行ったので、その結果がああなったのかなと思います」

走者を三塁に置いての投球は、8回1死満塁から登板した5月8日中日戦以来だった。先頭打者への四球をきっかけにピンチを迎えた。1死後、投球動作の静止が短くボークをとられた。「2日前にも(審判に)注意を受けていたので、2日前よりも気持ちゆっくり投げるようにしたんですけど」。警戒していた一塁走者の代走周東を得点圏に進め、申告敬遠で塁を埋めた。プロ初のボークでピンチを広げるも、動揺はない。新人離れした強心臓ぶりがこの局面でも発揮された。

サヨナラを許せば2桁借金となるチームの危機を、守護神が救った。開幕からの22試合連続無失点は、13年河内の21試合を抜いて球団新記録となった。佐々岡監督は「さすがというね、本当大したものです」と最敬礼だ。この日、開幕から31試合連続無失点のプロ野球記録に並んだ西武平良について聞かれると「おめでとうございます」と笑顔で祝福。そして「自分も1点も取られてはいけない場面で投げている。平良くんのように続けられるように頑張りたいです」と謙虚に語った。チームのため、これからもゼロを並べていく。【前原淳】