金メダルへのライバルが出そろった。

侍ジャパン稲葉篤紀監督(48)が27日、東京五輪最終予選で最後の切符を勝ち取ったドミニカ共和国に警戒心を示した。17年WBCを制し、元メジャー選手を多数擁する実力国。開幕戦となる7月28日の1次リーグ初戦(福島・あづま球場)での対戦が濃厚だ。この日は楽天-ソフトバンク戦(楽天生命パーク)の試合前練習を訪れ、五輪代表の楽天田中将と対面。百戦錬磨の右腕にけん引役を託した。

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稲葉監督はほぼ寝ていなかった。いや、寝られなかった。「起きた、というか寝てない。5時くらいに寝た。見始めたら止まらないし、どういう展開になっていくんだろうと」。真夜中の27日午前3時に行われた東京五輪最終予選。ドミニカ共和国がベネズエラを破り、最後の出場枠に滑り込んだ。すでに出場権を得ていた韓国、メキシコ、イスラエルに今月上旬に米大陸予選を突破した米国。金メダルを争うライバルがそろい踏みした。対戦の輪郭が明確に浮かび上がった。

五輪前に現状の世界ランキングが推移しなければ7月28日の開幕戦はドミニカ共和国と対戦する。初の世界一に輝いた17年WBCのようにベストメンバーは組めないまでも、底力はある。「中南米の選手は乗ってくるから、ヒット1本、1点取ったときのあの盛り上がりに圧倒されないようにしないといけない。低めの球を打ったり、粘りもあるし、非常に強いなと」と警戒レベルを上げた。

近年の主要国際大会での対戦は15年プレミア12で4-2。国同士の対戦経験値は多くないが、18・44メートル間でよく知る男がいる。田中将が、メジャー初登板の先頭打者で初被弾を浴びたのが、この日2ランを放ったカブレラ。通算1962安打の強打者を始め、中南米勢との対戦経験は豊富だ。

指揮官はこの日、待望していた右腕と対面。日本球界復帰後は初めて顔を合わせた。「北京五輪の話もしたし、この五輪のルールの話。あと選手の話もして、チームを引っ張っていってほしいと」と精神的支柱としての役割を託した。【広重竜太郎】

◆大会方式 1次リーグのグループ分けは6チームが世界ランキングにより、2組に分かれる。現状ランクならA組は世界ランク最上位国の日本(1位)と4番目のメキシコ(5位)、5番目のドミニカ共和国(10位)。B組は2番目の米国(2位)、3番目の韓国(3位)、6番目のイスラエル(18位)が入る。1次リーグから最短5連勝で金メダルに到達する。1次リーグ連敗でも即敗退にはならず、進展次第では5勝3敗でも優勝できる。

◆ドミニカ共和国 メジャーで活躍したベテランと長年マイナーでプレーを続けた苦労人、メジャー傘下の若手有望株らが混在する。ベテランは12年にジャイアンツで首位打者争いをしたメルキー・カブレラ外野手(36)、メジャー通算166盗塁のエミリオ・ボニファシオ内野手(36=元ブレーブス)らがメンバー入り。最終予選には出場しなかったが米大陸予選に出場したメジャー通算344本塁打のホセ・バティスタ外野手(40=元ブルージェイズ)が加わる可能性もあり、打線には爆発力がある。メジャー経験豊富で15年に巨人でプレーしたホワン・フランシスコ内野手(34)もいる。投手陣は3Aクラスの若手がそろっている。