過去の栄光を捨て、新スタイルで1軍に戻って来た。DeNA上茶谷大河投手(24)が1日、横須賀市内の球団施設で1軍の投手指名練習に参加。2日の巨人戦(神宮)で先発が予想される。4月24日阪神戦(甲子園)以来、69日ぶりの1軍登板に向け「2カ月ほどファームで投げてきて、しっかり投げて戦う準備は整っている。準備したことを出す」と意気込んだ。

開幕ローテーション入りしながら、4試合で3連敗。1軍での最終戦は1回7安打6失点と打ち込まれ、防御率は10・69まで落ち込んだ。2軍に降格し「調子自体は1軍にいた時からそこまで悪くないと思っていた。その中で打たれる原因は何かと。自分を知ることが大事だと思って、自分の投球を見た」。一から自らの投球を見直すことを決めた。

だが、2軍に降格した当初「何したらいいか分からなかった」。大家友和、牛田成樹、藤岡好明と3人いる2軍投手コーチをはじめ、伊藤光、戸柱恭孝、益子京右ら捕手、同僚の今永昇太投手らチームメートにも質問を繰り返した。ブルペンでの投球練習を見詰めていた、仁志敏久2軍監督からの言葉が心に響いた。「お前の真っすぐじゃ空振り取れない。その真っすぐで空振り取ろうとしているのか」。1軍で活躍してきた打者目線を痛感した。モデルチェンジを決断した。

これまで直球とカットボールを中心に、力で押す投球を続けてきた。東洋大4年時には東都大学リーグの記録を更新する1試合20奪三振をマークしたこともある。同期に甲斐野央(ソフトバンク)梅津晃大(中日)がいる中でエースとして君臨し、ドラフトでは2人より先に指名を受け、ヤクルトと2球団が競合した。1年目から24試合に先発し、7勝(6敗)を挙げた。2年目も11試合で2勝(3敗)。故障以外では、ローテーション投手を務めてきた。それでも、アマチュア時代から積み上げてきた実績と決別する覚悟を決めた。

プロ3年目で新たに目指すスタイルは、球を低めに集めて、ゴロを打たせるというもの。直球とカットボールといった球速帯が似た球種をストライクゾーンに投げ込み、バットを押し込むという投球をやめる覚悟だ。

DeNAは現在、今季初の5連勝中だ。阪口皓亮、大貫晋一といった2軍から復帰した投手が、次々に白星を挙げた。「自分は1軍にいた時はだめだめだったので、チームの雰囲気もいいし5連勝中のプレッシャーもありますが、勝たないとプレッシャーをはねのけられない。チームの勢いを止めないようにしたい」。これまで、いつも明るく報道陣に対応していた上茶谷だが、今回ばかりは神妙な顔で言葉をつむいだ。【斎藤直樹】

【関連記事】DeNAニュース一覧