真夏の甲子園が、逆転に次ぐ逆転の大熱戦に沸きに沸いた。準々決勝の第2試合は智弁和歌山-帝京(東東京)。大会新の1試合7発の空中戦となり、9回の攻防で死闘が演じられた。4-8の9回表に帝京が大量8点を奪って逆転。その裏、智弁和歌山も驚異の粘りで5点を奪い逆転サヨナラ勝ちした。

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帝京は奇跡の大逆転を演じたはずだった。ヒーローになりかけたのは杉谷拳士(1年)。1点差に迫った後の9回2死満塁。「3年生が一生懸命回してくれたので気持ちで打った」と執念で左前に逆転の2点適時打。15日の試合で打球を左ほおに受けた。ひびが入った状態での強行出場だったが「痛みは感じなかった」。秋からの新チームにはベンチ入りした7人が残る。「3年生のすべてを引き継いで甲子園に戻ってきたい」と杉谷。最後に完成したつないで粘る「勝利の方程式」を継承し、センバツ出場へ向け再発進する。

◆6人が登板 帝京は6人がマウンドに上がった。30年の松山商が準々決勝の諏訪蚕糸戦で延べ10投手(山下と矢野が交互に5度ずつ登板)というケースはあるが、異なる6人が投げたのは初めて。

◆9回に8得点は初めて 帝京が9回に挙げた8得点は、9回としては史上最多得点。過去は69年松山商(対高知商)など4校の7点が最多だった。