虎が誇る侍コンビが五輪へ向け頼もしい姿を見せた。

全セの阪神岩崎優投手(30)、青柳晃洋投手(27)がそれぞれ1イニングを無失点に抑えた。シーズンとは逆で「8回の男」岩崎が5回に3番手で登板。この日最速は139キロながら、独特の打者に近く低いリリースで、押し込んだ。2人目に対戦した甲斐は低め直球3球すべて空振りし三振。栗原、小深田と左打者もしっかり抑え3人で片付けた。初の球宴で持ち味を発揮。「無事に終われてよかったです。いい結果になって」と、シーズン同様にクールに振り返った。

続く6回には今季チームトップ8勝の青柳が4番手で登板し得意のツーシームで封じ込んだ。まずは荻野を二ゴロに打ち取ると、この日4打数3安打3打点でMVPを獲得した島内を、ツーシーム1球で中飛に仕留めた。「投球自体はよくなかったけど、楽しめた」と話すように、代打森には四球を与えたが、代打山川は直球を低めに丁寧に投げ、遊ゴロと青柳らしくゴロで切り抜けた。

青柳の球宴は2度目で19年第2戦(甲子園)では3番手で2イニングを投げた。プロ6年間で89試合に登板しているがリリーフ登板は1年目に1試合しかない。五輪では「クオータースロー」と呼ばれる下手寄りの変則サイドスローで、幅広い起用法で期待されている。リリーフで1イニングを抑えたのは、侍にとっても大きい。左右の違いはあるが変則左腕でリリーフ専門の巨人高梨とも意見交換。「すごい勉強になった」と、多くの収穫を手に侍の代表合宿へと向かう。試合後、青柳は「金メダルに少しでも貢献できたらいいかなと思います」と、侍モードに切り替えた。独特な投球フォームの2人が、今度は世界一をかけ、国際試合で存分に力を発揮する。【石橋隆雄】