DeNAタイラー・オースティン外野手(29)が、東京オリンピック(五輪)銀メダリストの技と力を見せつけた。

まずは技だ。1-1の同点に追い付いた5回1死一、三塁。山口の146キロ外角直球を軽打し、右中間へ勝ち越し中前打。「追い込まれていましたが、コンパクトに捉えることができました。勝ち越すことができうれしいです」と振り返った。

お次は力だ。8回、先頭打者としてカウント2-0から、田中豊の149キロの直球を左翼席へライナーでたたき込んだ。昨年の本塁打数を上回る21号。「打球が低かったので、正直スタンドまで届くとは思わなかったです。貴重な追加点を挙げられうれしいです」。日本語で得意の「ヤッタ!」を交えて喜んだ。

全米が泣いたかどうかは不明だが、オースティンは米国代表の一員として東京五輪の決勝で日本と戦った。敗れたが、主軸として銀メダルを獲得し「素晴らしい経験でした。今まで野球をしてきて一番の経験だった」と胸を熱くした。打率4割1分7厘で打線をけん引。日本のファンにも存在をこれまで以上に認識させた。

この日は全ベイファンが泣きかけた。1回2死、丸の右中間の打球をダイビング捕球。体を人工芝に打ちつけ、苦悶(くもん)の表情を浮かべた。ベンチに下がることもなく、腹をさすりながら痛みに耐えた。その後、勝ち越し打にダメ押しの21号。ど根性を見せた。三浦監督は試合後「本人もいくという話をしていた。今のところ大丈夫です。ホームランも打っているし。オースティンは今日だけじゃなく、常に全力プレーで引っ張ってくれている。チームにいい影響を与えてくれている」と絶賛した。

これでチームは上位の阪神、巨人相手に2連勝。助っ人が勢いに乗せてきた。【斎藤直樹】

▽DeNA京山(5回1失点で今季初勝利)「結果的に最少失点でよかった。捕手の山本が(盗塁を2つ)刺してくれたりして何とか抑えられた」

▽DeNA三浦監督(今季初白星の京山に)「ストレートが非常に力強く。変化球はまだ課題がありながらも。逃げずにジャイアンツ打線に向かっていった」