連敗を止めたのはエースだった。日本ハム上沢直之投手(27)が22日、楽天戦(札幌ドーム)で自己最速に並ぶ154キロを記録するなど7回5安打1失点の好投。チームトップに並ぶ7勝目を挙げ、同じ千葉・松戸市出身の先輩、楽天涌井に投げ勝った。チームは2分けを挟んだ連敗を4で止め、後半戦7試合目でようやく初勝利。負ければ自力V消滅の危機で、踏ん張った。

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「エース」の称号に、ふさわしい118球だった。負ければ、自力V消滅の可能性もあった大事な試合。7回を5安打1失点で崖っぷちのチームを救った上沢は「後半戦が始まってから、なかなか勝てない状況が続いていたので、何とか僕でその流れを断ち切るんだという思いで投げました」。強い責任感でつかんだ自身5試合ぶりの白星に、柔らかな笑みが広がった。

ゲームプランは完璧だった。4回までは直球主体にぐいぐい攻め、5回以降はカットボールやカーブでバットの芯をうまく外した。「前半、真っすぐで押したぶん、意識付けさせたものをしっかり回収していくことが出来た」と納得顔。7回には、3年ぶりに自己最速タイの154キロを記録。4回途中6失点でKOされた3月26日開幕戦(楽天生命パーク)以来となる楽天涌井との松戸市出身同士の“同郷対決”に雪辱し、栗山監督も「やっとナオらしくなってきた」と最敬礼だ。

後輩たちに、たくさんの刺激をもらった。今月16日には、母校の専大松戸が、春夏通じて甲子園初勝利。後輩たちとの“アベック勝利”はかなわなかったが「少しでも卒業生としていい報告ができるように頑張った」と必死に腕を振った。

先に7勝を挙げていたルーキー伊藤の活躍にも触発されている。「前半戦は、あいつが1番勝って、(自分が)ちょっと不甲斐ないなっていう思いがあったので」。勝ち星で並び「何とか先輩として意地を見せられるよう頑張りたい」。まず目指すのは、開幕直後から定位置となっている最下位からの脱出。「なかなかうまく、いい流れに乗れていないですけど、必死になってやっているので、ファンの皆さんも一緒になってついて来て欲しいなと思います」。反攻へ、エースは準備は整った。【中島宙恵】

◆日本ハムの今季開幕戦VTR 3月26日に楽天生命パークで楽天と対戦した。日本ハムの先発は2年ぶり2度目の開幕投手となった上沢で、楽天は涌井。上沢にとって涌井との投げ合いはプロ10年目で初めてだった。初回、辰已に先頭打者本塁打を許すなど2回までに2失点。5回も4安打を浴び、4失点で途中降板。4回2/3を9安打6失点で敗戦投手となった。涌井は7回4安打無失点で初勝利を挙げた。試合は楽天が8-2で快勝した。