巨人との優劣がくっきりついた10月10日。阪神の先発メンバー表に外国人選手の名前はなかった。ベンチには、5月に育成枠から昇格したバルディリス1人。6年目のウィリアムスとともにブルペンにいたアッチソンが、V逸を決定づける逆転3ランを横浜村田に浴びてしまった。

グライシンガーからクルーンのリレーでヤクルトを封じ、44本塁打のラミレスが4番に座った巨人とは、あまりに対照的だった。

今季も外国人補強は、チーム強化に結びつかなかった。「走れる大砲」の触れ込みで獲得したルー・フォードは、7月21日を最後に1軍登録されていない。自らの立場を察知したのか、9月に入ると代理人を通じて球団に処遇の確認を迫ったという。ただし、11月中旬アジアシリーズ終了までの契約を結んでいる球団は、解雇方針を固めながらも帰国を認めなかった。

とはいえ、岡田監督以下首脳陣の、フォードへの期待感はゼロに等しかった。優勝争いが過熱し、右打ち野手が手薄になっても、一度も昇格候補に挙がることはなかった。フォードは鳴尾浜で?飼い殺し?状態にあえぐだけだった。

メジャー経験はあるが、そのキャリアのほとんどが準レギュラーとしてだった。実は昨オフの獲得候補のリストのうち、フォードは中位の選手。「最低でもこれくらいが獲れればという保険だった」(1軍コーチ)。

リスト上位には、輝かしい実績を誇るか、将来性を見込まれる若手バリバリの名前が並んでいたという。ただしその横の年俸欄には600万ドル(約6億円)、500万ドルという数字が記され「とても、本当に獲れそうな感触はなかった」とチーム関係者は明かす。

ヤクルトとの契約が切れるグライシンガー1人に絞った国内外国人の争奪戦でも、3人獲りに成功した巨人に完敗だった。アンディー・シーツが3番に収まってリーグ優勝に寄与した05年以来、「助っ人」の名にふさわしい外国人を野手に限っては、1人も獲得できていない。ルートか、起用法か。球団は外国人補強の失敗もV逸の要因だったと認識し、すでに08年の外国人獲りに取りかかっている。【阪神取材班】