長いトンネルから抜け出した。ヤクルト原樹理投手(28)が、今季初勝利を挙げた。昨年7月29日阪神戦以来の白星。

久しぶりのお立ち台で祝福を受け「ケガや、いろいろなことがあって、すごく苦しい期間がとても長かったけど、頑張ってこられてよかったなと。今すごくほっとしています」と顔をほころばせた。

因縁の対決だった。DeNA先発の今永とは同学年。東洋大4年時、東都大学リーグで駒大との入れ替え戦で2度投げ合った。原は全3戦に登板し、2先発。1部昇格を置き土産にプロへ進んだが、今季開幕時点で通算16勝。ライバル左腕は44勝を挙げ、侍ジャパンにも選出された。プロでは2度目の対決も「実績が違いすぎる。自分のやれることを1つ1つやっていくだけかなと思っていました」と平常心を忘れず。目の前の打者に向かった。

持ち球のスライダーやシュートに、新球の沈む球を加え、的を絞らせなかった。最後は感情を爆発させた。1点リードで迎えた7回2死二塁。桑原を外角スライダーで見逃し三振に仕留めると、グラブをたたいてほえた。「ここ一番というところかなと思っていたので、自然と気持ちが入っていたのかな」とあふれ出る思いを抑えきれなかった。

ようやくつかんだ1勝も満足はしない。「今日は今日。次からも自分のできることをコツコツと積み重ねて、しっかりやっていきます」と先を見据える。ドラ1右腕の底力を見せ、チームの2位浮上に貢献。逆転優勝へ向けてのピースとなる。【湯本勝大】

▽ヤクルト高津監督(原の好投に) いろいろ考えるところもあったでしょうし、自分の立ち位置も理解しているでしょうし、プレッシャーもあったでしょうし。今日は彼らしいというか、本来のピッチングだったと思う。