甲子園が2夜連続でため息に包まれた。阪神が13試合ぶりの2ケタとなる10安打を放ちながらも2得点。10残塁とチグハグな攻撃で広島に2連敗を喫した。首位ヤクルトがDeNAに敗れたため1ゲーム差は変わらないが、最短で10月1日にも自力V消滅の危機。矢野監督もあと1本が出ない打線に言及した。

「誰かが1本と言ったらあれだけど、出してくれるとだいぶ変わるんだけどね。そこはなかなか最近ずっと課題というか。それがずっとなかなか突破できない」

試合前には決断を下した。再昇格後は5試合連続で先発出場していた怪物ルーキー佐藤輝をスタメンから外した。6番右翼にベテラン糸井を据えて、つながらない下位打線に刺激を与えた。だが、ヒットは出ても得点が入らない。

まるで「金縛り」だ。最大のチャンスであるはずの満塁機で得点が生まれない。1点を追う6回。1死満塁の好機で8番梅野が一邪飛に倒れると、代打の切り札原口が中飛。7回には2死からマルテ、大山の2者連続ヒットなどでベースを埋めたが、糸井が9球粘った末に空振り三振。3度の満塁機はすべて得点に結びつかなかった。

負の流れを完全に断ち切れない。10日広島戦の8回に近本が適時打を放ってから、26日巨人戦(東京ドーム)で糸井が適時二塁打するまで、満塁機は9度あったがノーヒット(大山の犠飛を含む)。この日の3度を含めて13度の満塁機で1度しかヒットが出ない。

壮絶な優勝争い。プレッシャーに押しつぶされてしまうのか。矢野監督は首を振った。「いやいやプレッシャーはずっとある。プレッシャーがあるだけありがたい。あって当たり前」。30日はエース西勇が中5日で先発マウンドに上がる。指揮官は自身に言い聞かせるように「誰も助けてくれないんでね。自分たちで突破するしかない。全員でやるしかない」と力を込めた。【桝井聡】

▼阪神は最短1日に自力優勝が消滅する。ヤクルトが30日、10月1日のDeNA、広島戦に○○か○△で、阪神が広島、中日戦に●●で消滅する。