矢野阪神が虎の子の1点を守り切った。守護神ロベルト・スアレス投手(30)が1-0の9回を無安打無失点とピシャリ。2試合連続の完封勝ちに導き、リーグトップを独走する36セーブ目を記録した。ヤクルトの兄アルバート・スアレス投手(31)とNPB初の「兄弟同日セーブ」も達成。チームは3連敗の後に3連勝と息を吹き返し、5日からDeNAとヤクルト、巨人を相手に関東で9試合を戦う。

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9回2死無走者。甲子園に詰めかけた1万8012人が、“あと1人”と言わんばかりの手拍子をマウンド上のスアレスに送った。フルカウントからの6球目、この日最速の160キロを福留の外角高めに投じ、空振り三振に仕留めた。梅野は捕球とともにガッツポーズ。スアレスも右の拳をグッと握り、リーグ断トツの36セーブ目を手中に収めた。

「セーブの機会だったのでそれを生かすようにと思って投げました。それが勝利に結びついて良かったです」

スアレスが試合を締めてから1分後。ヤクルトの2つ上の兄も広島戦の9回を締めて来日初セーブを記録し、NPB史上初の「兄弟同日セーブ」となった。

「もちろんチャンピオンを争うライバルではあるけれど、共に日本で戦う仲間として、そして兄弟として、彼の成功をうれしく思うし、これからも共に頑張っていきたいね」

首位争いの垣根を越えてアベックセーブに目尻を下げた。

3連勝を飾った中日3連戦はスアレスが試合前のベンチに駆けつけて円陣の声出しを担当した。1日は「王者(Champion)」について。2日は「機会(Chance)」について。そしてこの日は「自信(Confidence)」について持論を展開。「失敗の原因は自信がないから。勝つために自信、情熱、勇気を持って」とナインを鼓舞した。矢野監督も「(声出しは)試合が始まる前に『よし、行くぞ!』という気持ちをつくってくれる。そういうことをやってくれる外国人選手というのはすごくうれしいし、気持ちは高まる」と守護神の積極的な姿勢に感心した。

チームは広島に3連敗の後、中日に3連勝。直近5試合は首位ヤクルトと同じ勝敗のため、ゲーム差は1のまま並走している。5日からはDeNA、ヤクルト、巨人と3連戦ずつ全て敵地で戦う。天王山の関東遠征。首位奪回へ猛チャージ(Charge)を開始する。【前山慎治】