“ワシンガン打線”が鷹を飲み込んだ。楽天が6日、ソフトバンク21回戦(ペイペイドーム)で12安打5得点と攻め立て、勝利をつかんだ。防御率1点台を誇る、東京オリンピック(五輪)米国代表右腕のマルティネスから3点を奪い、レギュラーシーズン最後の福岡2連戦で計27安打12得点と打線が活発。首位オリックスとのゲーム差を4・5と縮め、7日ロッテ戦(ZOZOマリン)へと乗り込む。

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123球目で、難攻不落の右腕を引きずり下ろした。1点リードの7回2死一、二塁。ここまで3三振の岡島が、カウント2-2から6球目の外角チェンジアップにバットを合わせた。快音を残し、打球は右中間フェンスに直撃。岡島は「1-0で来ていたので、本当に追加点がとれてよかった」と安堵(あんど)。のどから手が出るほどほしかった得点を奪い、防御率1点台のマルティネスをマウンドから降ろした。

打線が束になって、好投手を崩した。8回にはモイネロから連打と2四死球で1点を奪い、1アウトも取らせずに降板させた。12安打中、平行、もしくはボール先行からの安打が8本(ストライク先行3、初球1)。1安打平均4・3球を投げさせた。的確な見極めで打者有利なカウントを作り、甘く入った球を逃さない。まさに「好球必打」を実践した。

石井GM兼監督も打者陣の意地が見える粘りを称賛した。

「いい投手に苦しんでいるのはしょうがない。ただ、その中でも積極的にスイングしていきながら、追い込まれたらしっかりと食らいつけていた。みんなで何とか攻略するという部分で、7回に中押しできた。すごく苦しみながら、いいアプローチをしてくれたおかげだと思います」。

指揮官は常々「2ストライクアプローチ」という言葉を発する。簡単には打ち崩せない投手にも必ずある一瞬の隙。簡単には凡退しない強さが、その隙を確実に突くための原動力となっている。

シーズンも残り15試合。レギュラーシーズン最後の福岡を勝利で飾り、4ゲーム差で追う2位ロッテとの敵地戦へと向かう。岡島は「毎試合毎試合、チームの勝利に貢献できるように、打つだけでなく頑張りたいと思います」と言い切る。まだ差はある。ただ、上位2チームが見せる一瞬の隙を突くために、粘り強く攻め続ける。【桑原幹久】