阪神が130試合目にして自力Vが消滅し、ヤクルトの優勝マジック11点灯を許した。27イニング無失点と絶好調だった高橋遥人投手(25)を今季初の中5日で投入する勝負手も実らず5回4失点。打線も先発奥川らに大山のソロ1点に抑えられ、首位と今季最大の3ゲーム差に広げられた。それでも矢野燿大監督(52)は「変えられる明日以降を全員で変えにいく」とネバーギブアップを宣言。残り13試合に大逆転をかける。

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最後の打者ロハスが見逃し三振に倒れると、矢野監督は悔しさをこらえてグラウンドを見つめた。首位ヤクルトに優勝マジック11が点灯し、130試合目にして自力優勝の可能性が消滅した。「終わったことは変えられない」。懸命に現実を受け止めた。

負けられない直接対決の初戦に、今季初の中5日で2戦連続完封中の高橋を投入する勝負手を切った。「中5日もあるし、奥川もいいだろうというところで、前半ちょっと粘ってくれたらなと」。だが、初回村上に先制二塁打を浴びて連続無失点が27イニングでストップ。2回に西浦の5号ソロで序盤に2点を失った。5回にも1死二、三塁から塩見に前進守備の二塁横を鋭く破られる2点適時打。5回4失点での降板に高橋は「大事な試合で先発させてもらった中で、試合をつくることができず申し訳ないです」と肩を落とした。

打線も不調の佐藤輝を外し、この日も島田を右翼で起用するなど奥川対策を講じたが、大山のソロ1点に終わった。6回1死一塁では2番中野が1ボールから積極的に打って出て二ゴロ併殺。その裏の守りから交代を命じるなど、厳しい姿勢を見せたがカツも実らない。7回2死満塁では代打糸井で勝負もワンポイントで代わった左腕田口に空振り三振に終わった。矢野監督は「結果はプロとして求められる。(積極打法で)よかったということはない。オレらも成長していかなあかん」と厳しかった。

ヤクルトとの優勝争いで思い出されるのは92年。最終盤の天王山、同じ神宮で2連敗して首位から落ち、V逸につながる無念を味わった。リベンジのはずの神宮。首位と今季最大3ゲームが開く崖っぷちでも、9日、10日は何としても勝ち、逆転Vへの希望をつながないといけない。9日はローテを変更してまで、10勝右腕の秋山を中10日でぶつける。矢野監督はネバーギブアップを誓い、力を込めた。「変えられる明日以降を全員で変えにいく」。残り13試合。6月に2位に最大7ゲーム差をつけて首位を走っていた時は、16年ぶり優勝の文字が見えていたはず。猛虎の意地が試される。【石橋隆雄】

▼阪神がヤクルトとの直接対決に敗れ、自力優勝の可能性が消滅した。阪神が残り試合を全勝すると83勝53敗7分けの勝率6割1分で、ヤクルトが阪神との直接対決4試合に全敗しても、他のカードに11勝すれば78勝49敗16分け勝率6割1分4厘となり上回れないため。

▼阪神は後半戦に入りペースダウン。前半戦は48勝33敗3分けの貯金15で折り返したが、後半戦はここまで22勝20敗4分けで貯金2。対するヤクルトは前半戦を貯金10でターン。後半戦は9連勝するなど25勝12敗7分の貯金13とハイペースで勝ち進み、10月はこれで7連勝。阪神はヤクルトに6月19日に最大7差をつけたが、逆転を許した。

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