慶大の苦労人が首位浮上に貢献した。7-2の5回から笠井建吾投手(4年=明和)が2番手で登板。法大打線を2回2安打無失点に抑え、4年秋でうれしい初勝利を挙げた。

試合が終わってから、自分に白星がついたことを知った。「考えてもいませんでした。驚きました」と目を見開いた。1浪して一般入試で入学。「一番下からのスタート。とにかく、神宮で投げようと思ってました」。大学ラストシーズンで神宮デビューを果たし、初白星も手に入れた。

道のりは平たんではなかった。高1の時に右肘を痛め、野手に転向した。だが、投手への思いを捨てきれず、大学入学を機に再転向。同時に、トミー・ジョン手術に踏み切った。リハビリをへて投球を再開したのは、2年夏になってから。こつこつと鍛錬を重ねてきた。

鳴り物入りで入部し、1年春から活躍する選手もいれば、笠井のように4年秋で花開く選手もいる。堀井哲也監督(59)は「4年の最後に出るのは、プレッシャーもかかったと思う。1試合、1試合、よく頑張ってくれています。うちは高校で実績がない選手もたくさんいます。1、2年で基礎体力をつくって、3、4年で勝負できる選手になる。笠井は、下級生のモデルケース。励みになる」とねぎらった。

監督の言葉を聞いた笠井は「自分が努力している姿が、チームにいい影響を与えれば、やってきたことに何かしらの意味があるのかなと思います」と話した。チームはポイントによる勝ち点を立大と並ぶ5・5とし、勝率で上回り首位に立った。その立役者の1人に、笠井がいた。

 

▽慶大・萩尾匡也外野手(2番に入り、初回の先制二塁打を含む2安打3打点)「監督から『ノーアウト一塁でもどんどん打っていい』と言われたので、打順はあまり意識せず、自分のバッティングをすることを意識しました」