堂々たる開幕だ! ロッテ佐々木朗希投手(20)がCSファーストステージの楽天第1戦に先発。初回からプロ入り後実戦最速の159キロを3球マークするなど押し込み、6回10奪三振1失点。抜てきした井口資仁監督(46)も「エースに近い投球」と手放しでほめた。

チームもサヨナラ勝利しファイナル進出に王手。引き分け以上で突破が決まる。目標の日本一へ、ライバルチームに「佐々木朗希」の名を強烈に植え付けた。

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佐々木朗希ただ1人に、光が差した。午後3時50分、6回表のマウンド。右翼外壁の隙間からの天然スポットライトを浴び、無失点で終えた。「球場の雰囲気自体はものすごく緊張感がありました」。赤とんぼも舞うZOZOマリン。クライマックスを感じながら、大仕事を済ませた。

浅村も手が出なかった。初回2死、外角低めへの159キロを2球続け見逃し三振に。「いいコースに行ってましたし、指にかかって三振も取れて」。159キロはプロ入り後の実戦最速。160キロの大台については「裏では出てましたし」としつつ「そこは求めるところじゃないので。特にこういう大事な試合では」と意識になし。それでも直球平均球速は約155・2キロと過去最高値。大船渡高の元チームメートも応援に駆けつける中、20歳の末恐ろしさを見せつけた。

「抜けちゃったんで。練習します」

2回に一塁悪送球で先制を許し「引きずってました、ずっと」と言いながら、3回以降も崩れない。「正味ルーキーみたいな」と佐々木朗の今を表現する井口監督も、堂々たる投球に「エースに近い投球だったと思います」と絶賛する。

「初戦でこういう投球をできる。いくつになってもできない人はできないと思いますし。本当に素晴らしい。そういう星の下に生まれたんじゃないかな」

井口監督が自ら引き当てた。4球団競合のドラフト1位入札。「絶対に(当たりを)引くと思っていた」と自信満々で、狙っていた下から2番目のクジを迷わずつかみ、こぶしを突き上げた。あれから2年。「順調というか順調以上です」。前途洋々な未来を確信させる投球でもあった。

7回からはひたすらに願った。1度は救援陣が逆転を許したが、最後はサヨナラ勝ち。「9回、すごくいいものを毎回見てます」。同期入団の佐藤都がサヨナラ打を放つとベンチ前で3度、両足ジャンプ。「自分、何したらいいんだろうって」とサヨナラの作法に困ったのも今は昔。慣れた様子で、おなじみ水の祭典へと駆けた。【金子真仁】