西武の“チーム再建最重要ピース”が合流した。新任の平石洋介打撃コーチ(41)が9日、就任会見を行った。

楽天、ソフトバンクの要職を経て、西武からのオファーを受諾。縁もゆかりもなかったチームだが、松井ヘッドとはPL学園、そして楽天で結束を強め「ライオンズにお世話になろうと決めた最大の要因も稼頭央さんの存在。何でも言い合えると思っていますし、それぐらいあの方は器がでかい」と絶大な信頼関係のもとタッグを組む。

山賊打線復活が託された任務。その破壊力は19年の楽天監督時代に何度も味わった。「指導者になってから散々やられました。いつどこで火がつくか分からない打線が本当に相手からして怖くてですね、本当にその通りにやられた試合もありました」。ここ2年はその打線が低迷。チームの順位も、今季は42年ぶりの最下位に沈んだ。

再建のため西武入りを決めた覚悟は、言葉からあふれ出る。「プロの世界、平等はないので。平等って言いたいんですけど、平等はないと思っています。ただ、どの選手もチャンスあると思っています」。チーム環境、ドラフト指名順位、年齢、実績、チーム戦略に、戦力バランス…。競争は横一線というきれいごとではなく、この世界に長く身を置いてきたからこそ知る現実を、正直に言い切る。レギュラーポジションに加え、代打、代走、守備固めと、より高いレベルで出場機会を得るための競争は、激しく、そして残酷でもある。

だからこそ、選手へのアプローチは熱く、腹を割った関係性を求める。「プロ野球人生は短かったら数年で終わるかもしれないですし、長くてもそんなに長い間やれるわけでもない。今日けがをして野球人生が終わるかもしれないので、とにかく野球人生を全うしてもらいたいと選手と付き合っていました。どこまで力になれたか分からないですけど、これからライオンズに入ってもそこは変わりません」。

会見前は練習をスーツ姿で見守り原石を発見した。「オッという選手もいました。その姿を見たことなかったんですけど、ちょっとびっくりしました」と、育成1年目の長谷川信哉内野手(19)に熱視線を送った。今夏のエキシビションマッチで育成ながら1軍に抜てきされ、本塁打を放った好素材。「僕あまり個人名を挙げたことないんですよ。みんなに頑張ってもらいたいので」と言いつつも「彼はものすごく気になりました」と指導者として心をくすぐられた。

10日からチーム再建に向け本格始動する。「不安の方が先に来ると思っているんですけど、何とか勇気を持ってやってもらえるように、後押ししたいので、その気持ちは今までと変わりません」。並々ならぬ覚悟とともに、ライオンズのユニホームに袖を通す。【栗田成芳】

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