「右京」が甲子園で大暴れするぞ! 阪神ドラフト4位の智弁学園・前川(まえがわ)右京外野手(18)が13日、大阪市内で仮契約を結んだ。契約金4000万円、年俸500万円。

高校37発の左のスラッガーは「右京って呼んでもらえたらうれしいです」と愛称をリクエスト。球団が将来期待する佐藤輝明内野手(22)、井上広大外野手(20)との関西出身トリオのクリーンアップ形成を目指し、新たな1歩を踏み出した。

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印象的な「右京」は、長いNPBの歴史でも初めての名前だ。由来は「名前の画数と響きがいいところ」から。「自分でも右京の名前が好きなので、右京って呼んでもらえたらうれしいです。あまり右京って名前がいないんで、覚えてもらえるいい名前かな」と呼び掛けた。高校時代の愛称はもちろん「右京」。阪神でも「前川」より「右京」で売り出す意気込みだ。

真骨頂は熱さを前面に出すプレースタイルだ。3年夏は1番や3番を任され、チームを甲子園決勝まで引っ張った。出塁すれば大きなガッツポーズでナインを鼓舞。本塁生還すれば「よっしゃー!」と大声で喜びを分かち合い、イニング間には全力疾走で守備位置へ向かう。そんな右京に同期の山下陽輔前主将(3年)は「言葉には出さないけど背中で引っ張ってくれる。とても頼りになる副主将」と信頼は絶大だった。

高校37本塁打の左のスラッガーに、球団の期待も大きい。山本スカウトは近大出身の佐藤輝、履正社出身の井上の名前を挙げ「将来的に3人でクリーンアップを打てたらいいなと思っている」と関西出身の和製大砲トリオ構想を披露。右京自身も「最終的に阪神タイガースのクリーンアップを打って活躍できるように頑張りたい」と意気込んだ。3人が甲子園で繰り広げるアーチショーの夢が広がる。

智弁学園で3度出た甲子園は、10試合で打率3割7分8厘、12打点、2本塁打の好相性。プロでも大暴れの予感が漂う。だが、貪欲な18歳は仮契約を終え、表情を引き締めた。「自分に対して、厳しく自覚を持ってやっていく気持ちが強くなりました。高卒1年目からはい上がっていくだけ。結果が出ない時もあると思うけど、妥協せずに頑張っていきたい」。佐藤輝や井上に続く阪神の新怪物伝説をつくる。その名は右京。甲子園の申し子が甲子園を熱く沸かせる。【前山慎治】

◆各界の「うきょう」 レーサーの片山右京は92年、日本人3人目のF1ドライバーとして世界にデビュー。その後ル・マン24時間、パリ-ダカール・ラリーなどに参戦するなど活躍した。架空の人物では、刑事ドラマの名作「相棒」で水谷豊演じる杉下右京が冷静沈着に難事件を解決し、人気を集めた。ソフトバンクの周東佑京は、育成ドラフト入団からはい上がり、20年には50盗塁でタイトル獲得。一方「左京」では、国民的なSF作家の小松左京が「日本沈没」「復活の日」など数々の名作を世に出した。

◆前川右京の甲子園 智弁学園で春夏合わせて3大会に出場した。1年夏には4番を務め、初戦の2回戦八戸学院光星戦で2安打3打点も敗退。この大会には、津田学園から兄の夏輝(3年)も出場しており、異例の兄弟ダブル甲子園の快挙を成し遂げた。3年春は3番に座り、1回戦で大阪桐蔭を倒すなど準々決勝進出。夏には1番と3番で出場し、22打数10安打、7打点、打率4割5分5厘の大活躍。2回戦の横浜戦、3回戦の日本航空戦では本塁打も放ち、チームの準優勝に大きく貢献した。

<前川右京(まえがわ・うきょう)>

◆生まれ 2003年(平15)5月18日。三重県津市出身。

◆球歴 白塚小1年から白塚バッファローズでソフトボールを始める。一身田中1年時から津ボーイズで硬式野球をはじめ、3年時に全国制覇。智弁学園では1年春からベンチ入りし、1年夏、2年夏の交流試合、3年春夏と甲子園に4度出場。3年夏は準優勝。高校通算37本塁打。

◆習い事 4~8歳時に水泳。中1~3年時に英語。

◆趣向 好きなプロ野球選手 中日根尾。趣味は筋力トレーニングで特技は卓球。好きな食べ物はイチゴで嫌いな食べ物 ピーマン。好きなタレントは三阪咲。

◆好きな言葉 第三者の評価を意識した生き方はしたくない。自分が納得した生き方をしたい。

◆家族構成 兄、母、父。

◆兄弟甲子園 智弁学園1年時に津田学園(三重)で投手の兄夏輝さんとそろって甲子園に出場した。尊敬する人物は兄。

◆その他50メートル走6秒9。遠投95メートル。サイズは176センチ、88キロ。

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