“日本シリーズの鬼”が、20年ぶりの日本一へ導く。ヤクルトは20日からの決戦に備え、京セラドームで前日練習を行った。高津臣吾監督(52)は「スワローズとしてオリックスをなんとかたたきたい、勝ちたいという思いが強い」と力強く話した。

短期決戦に加え、9回打ち切りのシーズンから、延長12回に変更。戦い方も変わってくる。「汚い手は使わないが、すべてを使いたい。ベンチに入っている26人全員使いたい。(登録した)40人すべて使って、なんとか4個勝ちたい」と並々ならぬ覚悟を示した。

一戦必勝の根底には、自身の現役時代がある。日本シリーズを4度経験。合計11試合に登板し、16回2/3を無失点。打者を圧倒し続けてきた。「心の中では、もうこれで終わりだと思いながらマウンドに上がっていた。だから出し惜しみすることなく、この試合を最後に全力を尽くして終わろうという気持ちだった」と振り返る。腹をくくって投げてきた現役時代の闘志を、指揮官になっても変わらずに持ち続ける。

セ・リーグ球団として、9年ぶりの日本一への期待もかかる。今年最後の大一番。「うちのチームは抑えてほしいし、打ってほしいとは思うが、この11月の終わりに野球ファンが盛り上がってくれるシリーズにしたい」。勝利にこだわった采配と、選手たちの全力プレーで、全プロ野球ファンを魅了していく。【湯本勝大】

◆高津監督の日本シリーズ 選手時代は93、95、97、01年の4度出場。通算成績は11試合登板して2勝0敗8セーブで、93年の初登板から16回2/3を無失点。通算8セーブは岩瀬(中日)の6セーブを抑えてシリーズ最多を誇り、胴上げ投手4度は高橋一(巨人)と並んでシリーズ最多タイ。