25年ぶりの日本一へ、オリックス中嶋聡監督(52)が「大胆予告」で早くも仕掛けた。

「SMBC日本シリーズ2021」が20日に京セラドーム大阪で開幕する。19日に監督会議が行われ、予告先発は実施しないことが決定。しかし中嶋監督は「うちはやる」と山本由伸投手(23)の第1戦先発起用を明言。2戦目以降も公表することを示唆した。勝負師の一手は吉と出るか凶と出るか。注目の頂上決戦の幕が開く。

   ◇   ◇   ◇

中嶋監督が思わぬ動きに出た。日本シリーズを翌日に控え、監督会見が終了。その後、指揮官は球団広報を通じて、報道陣を京セラドーム大阪の地下駐車場に呼んだ。実施しないことが決まった予告先発について、大胆に言い放った。

「うちはやりますよと言った。ルール上、やらない方が優先だと。片方が予告しないと予告先発はしないということ。そこで、向こうはやらないんだなって。別に片方がやってもいいでしょ?」

続けざまに、第1戦の先発投手を力強く宣言した。「山本。万全で行ってほしい」。今季18勝のエース右腕を堂々の指名。自信の表れか、はたまた…。注目の情報戦で、単独の予告先発に打って出た。

この日行われた監督会議では、ルール確認後に司会者が「事前会議で予告先発は使わないと決定した」と告げた。その後「質問があれば」と問いかけ、20秒沈黙が続いたところで、中嶋監督が隣の水本ヘッドコーチとひそひそ。おもむろにマイクを握り「予告先発、しないんですか?」「してもいいですけど」と発言。だが、高津監督は特にリアクションをせず、司会者から「もうそれはご自由に」と制された。改めて予告先発は行わないことを念押しして会議は終了していた。

日本一を逃した26年前の過去がよみがえる。95年の日本シリーズでは、ヤクルト野村克也監督がマスコミを利用しながら「ID野球」を駆使。キーマンのイチローに対して「内角攻め」を宣言し、封じ込めた。当時現役だった中嶋監督は「僕らには、マスコミを使う力はないんでね。(イチローも)あれだけ言われたら意識するでしょ」と語った。監督就任直後から、徹底的に情報をガード。この日も警戒すべき選手を問われると「え? 言います?」とかわしただけに、予想外の予告先発となった。

2戦目以降の予告先発は「気が向いたら言う」とニヤリ。自信の真っ向勝負か、陽動作戦か。鋭いタクトでリーグ制覇に導いた勝負師から目が離せなくなった。【真柴健】