助っ人コンビで決めた! 1点を追う7回2死一塁、今シリーズ無安打だったヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が、右翼スタンドへ逆転2ランをたき込んだ。

ホセ・オスナ内野手(28)も4回にチーム初安打となるフェンス最上部直撃の二塁打。救援のスアレス、守護神マクガフもマウンドに上がり、“本拠地”東京ドームでヤクルトが1歩前に出た。

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ヤっと出た! 1点を追う7回2死一塁、今シリーズ11打席無安打のサンタナに打席が回った。1発がほしい場面。2ボールから迎えた3球目、外角131キロスライダーを、思いっきり振り抜いた。打球は右中間席に突き刺さり、再逆転となる2ラン。「自分自身も1本出ていなかったので、最高の場面で打つことができた」。定番パフォーマンスとなったヒゲを触るポーズで喜びを表現した。

“デジャブ”の決勝弾となった。日本シリーズは、神宮ではなく東京ドームが“本拠地”。マリナーズ時代の19年3月20日のメジャー開幕戦、イチローの引退試合でもあった一戦で、逆転の満塁本塁打を放った。着弾点はこの日と同じ右翼席。逆方向へ力で持っていった。

今季来日した助っ人。どちらかと言えば、静かで寡黙なタイプ。その真面目さはプレーに生きている。右翼の守備ではどんなに簡単な飛球も、両手でキャッチ。打撃では、投手のデータを熱心に研究する。常に日本人投手の特徴を頭に入れて打席に向かう。日ごろの成果が大舞台での活躍につなげた。

研究結果は大の仲良しであるオスナにも共有する。常に行動をともにし、神宮には一緒に徒歩で“出勤”。お互いの打撃についてアドバイスし合ったり、対戦した投手の情報を語り合う。「オスナの活躍は1年を通して大きかった。彼も不調なときはすごく努力して技術を向上しようとする姿は素晴らしい」と認める存在。戦友から刺激を受けて、力に変えてきた。

国籍、年齢に関係なく、一枚岩でヤクルトの勝利に突き進む。要所で高津監督からかけられる激励も、真摯(しんし)に受け止める。サンタナは「自分たちの今まで通りやってきたプレーをすれば何とかなる、『絶対大丈夫』だっていうのは、本当に印象に残った」。チームスワローズの精神は胸に刻み込んでいる。日本一まであと2勝。全員で歓喜をつかみ取る。【湯本勝大】

◆サンタナが7回にシリーズ初安打となる逆転2ラン。日本シリーズでの逆転本塁打は20年第4戦の柳田(ソフトバンク)以来で、7回以降に記録したのは84年第1戦で8回に逆転2ランを打った長嶋(広島)以来37年ぶり。ヤクルトでは78年第4戦で9回に逆転2ランのヒルトンに次いで2人目だ。また、シリーズ初本塁打が逆転弾は17年第5戦の筒香(DeNA)以来だが、初安打が逆転弾だったのはシリーズ史上初めて。