沢村賞投手を打ち崩し、神戸の夜空に舞う。

ヤクルト高津臣吾監督(53)は、オリックス山本を「日本で一番いいピッチャーなのは間違いない。一番難しいピッチャー」と認めた上で言った。「初見よりは分かりやすい。いろんなことを考え、できるかどうかは別として、作戦を練って挑むことは大事」。策を講じて、第1戦で6回5安打1得点に封じられた右腕攻略に挑む。

前回の対戦が布石となる。山本には6イニングで112球を投げさせた。25人が対し、16度初球を見送った。3ボールまで持ち込んだのは7度。きわどいコースは見極めとファウルで対応し、粘って球数を稼いだ。少しずつ相手のスタミナを削り、迎えた6回。1死一、二塁から中村が放った中前への適時打は、1ボールから111球目の真ん中低めの直球をコンパクトに捉えた。果たして次の作戦は-。指揮官は「打ちにいきますよ、と言ったら面白いですけど。打撃コーチがいろいろ考えていると思います」。一転、ファーストストライクを積極的に狙うのか。引き続き粘り腰か。不敵に笑った。

これまでの大熱戦の5試合を、高津監督は「たぶん第三者として見ていたら本当にいいシリーズだと思う。やってる我々は大変です」と笑った。最高の投手が相手でも「だから負けました。打てませんでしたでは悔しい」とキッパリと言い切った。この日の練習は、青木、山田、村上ら主力野手は参加せず、休養に充てた。心身をリフレッシュさせて難敵を打ち、20年ぶりの日本一を決める。【湯本勝大】