日立製作所(日立市)が阪神からドラフト6位指名された豊田寛外野手(24=国際武道大)の活躍でヤマハ(浜松市)を破り、初戦突破を決めた。豊田は「1番右翼」で出場し、中押し2ランを含む2安打2打点1盗塁の大暴れ。東邦ガス(名古屋市)は広島ドラフト5位の松本竜也投手(22=ホンダ鈴鹿から補強)の好救援で三菱重工East(横浜市)に勝利。4日の2回戦で日立製作所と戦う。ENEOS(横浜市)もJR東海(名古屋市)を破り、白星発進した。

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逆方向へのアーチで力を見せつけた。1-0の5回2死三塁。日立製作所・豊田がヤマハの最速150キロ右腕、近藤の初球のカットボールを振り抜いた。右打席から速度166キロで飛び出した打球は、東京ドームの右翼席に飛び込んだ。これが阪神からドラフト6位指名されての初アーチ。「しっかり捉えられているので、ホームランになった。大舞台で打てたのはすごく自信になる」。1番右翼で出場し、初回は中前打から1球で盗塁を決めるなど、2安打2打点で打線をけん引。「(足と長打は)自分の持ち味。(プロでも)アピールしたい」と会心だ。

刺激を受ける存在がいる。4番を務めた東海大相模3年時、一緒に夏の甲子園を制した同学年のオリックス吉田凌や中日小笠原だ。吉田凌は今季、リリーフでリーグ優勝に貢献し、日本シリーズでも5試合に登板。小笠原は先発で今季キャリアハイの8勝、規定投球回に到達した。「同級生として、すごい刺激になる。ゆくゆくは自分もああいう舞台で活躍できれば」。

本塁打を放った直後に交代。ヒヤリとしたが「完全に(両足を)つった。大事を取って代わった」とケガに至らず一安心となった。来季、阪神の外野手争いを熾烈(しれつ)にさせそうな“甲子園の星”。社会人日本一の入団土産を狙っている。【前山慎治】

◆豊田寛(とよだ・ひろし)1997年(平9)4月28日、神奈川県横浜市生まれ。川上北小時代に戸塚アイアンボンドスで野球を始める。名瀬中では戸塚シニアに所属。東海大相模では2年と3年夏に甲子園出場し、3年夏は4番で全国制覇。決勝の仙台育英戦では佐藤世那(元オリックス)から4安打3打点をマークした。同年U18日本代表に選ばれ準優勝。国際武道大では1年春からベンチ入り。2年春から4季連続リーグ優勝。外野手でベストナインを4度受賞。177センチ、85キロ。右投げ右打ち。