日刊スポーツはオリックスの25年ぶりリーグ優勝を記念し、「火曜B」と題したスペシャル企画を来年1月末まで毎週火曜日にお届けします。

第2回はプロ2年目で大ブレークした紅林弘太郎内野手(19)の奇想天外伝説をチームメートが明かしてくれました。背番号24にちなんで「紅林24時」。主砲の吉田正が不在時は代役3番を務め、遊撃でも好守を連発した19歳は怖いものなしの強心臓。ムードメーカーとしても盛り上げた紅林劇場をお届けです。【取材・構成=真柴健】

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★紅林の24時間★(ホームゲームのナイター時)

午前11時 起床。「ナイターの前の日は深夜2時か3時に寝ます。8時間睡眠、めっちゃ爆睡。目覚まし時計はセットするけど、気にしません」。大阪・舞洲の寮を出発するのは11時半で、ときどき起きた時間に焦るという。「夢は見ないですね。マジで爆睡」(紅林)。

正午 京セラドーム大阪に到着。寮からのタクシー移動中は先輩と同乗になるが「なぜかオリックスの選手の応援歌を熱唱している」(太田)。球場到着後は風岡内野守備走塁コーチのノックを受ける。

午後2時 先輩野手、投手陣がグラウンド入り。ロッカー室で顔を合わせるが「なぜか逃げる。あいさつが返ってこない」(伏見)。辻打撃コーチいわく「ベニの今年の目標は、あいさつができるようになること」。宗によると「あいつ、この前、ロッカーで僕の頭をたたいてきたんですよ! なぜか、ずっとニヤニヤしている。大物感? あり過ぎます」。

午後3時 中嶋監督から打撃指導を受ける。「ちゃんと伝わってるんかなぁ」と指揮官も心配。T-岡田も「何を考えてるかわからない。緊張とかしてなさそう」とあきれ気味だ。

午後4時 試合に備えて夕食タイム。「大盛りの丼と大盛りの丼と大盛りラーメン。えええ!? みたいな。ある日はラーメンとそばとうどんと丼。違う日はカレーライスと親子丼とラーメン大盛りとか。1回の食事で4食分…」(若月)。腹八分目ではなく超満腹で試合に臨む。

午後5時 二遊間を組む安達は「ずぶとい? 先輩の話、聞いていないです。右から左に流している」。竹安によれば「ここ、カラオケだっけ? ってぐらい大声で歌っている。しかも、かなり高音で音程は外しまくり。試合前のロッカーなのに、いきなりスリッパで腰にタオル巻いているだけの格好でバット振り始めたり…」。

午後6時 プレーボール直前に主砲のお尻をタッチ。「なんや、2割2分のバッターって言ったら笑ってますよね」(吉田正)。試合中は「ずっと突っ立ってるだけで確認作業もしない。全然、声は出さない。マジでよくわからない。そこが良いんでしょうけど」(安達)。センター福田は「飛球は他人に任せますよね。僕とか(三塁の)宗とか。(二塁の)安達さんに『任せた~!』なんてザラにありますよ。良いキャラしてる」。

午後7時 同学年の宮城がマウンドでピンチを迎えると「困ったら、こっち来いよ!」(紅林)。宮城は「いやいや、そっちが来いよ…。投手はマウンドから離れられないよ…と。僕が来てくれと言ったら『お前から来い』と。マウンド外してショートまで歩いてこいと」。

午後8時 救援の富山は「プレー中は頑固。そこ飛ぶぞ! と言っても聞いてない。それで、結局打球が飛んできてエラー。『ふざけんなよ!』って言ったら『え? なに?』みたいな」。

午後9時 ラオウ杉本によると「毎イニング守備が終わると、手を洗うので『手、臭いん?』って聞いたら『グラブをはめると手が荒れるんです』と言いながらせっけんでゴシゴシ。訳わからん」。

午後10時 試合後の風呂場で「水本ヘッドが裸にタオル1枚を巻いてるのを見て『貫禄あるっすね』と指を差して…」(太田)。「大浴場でも爆音で歌っている」(宮城)。「うるさいって注意してもやめない」(富山)。「タオル1枚で、細身の僕を見て『ちょっとフィジカル弱くないですか?』って」(山崎颯)。

午後11時 負け試合でも「平気で、豪快におなら。ひどい。言い訳が『暗い雰囲気だったので明るくしようと思いました!』って。紅林は、その担当はしなくていいぞと注意しても治らない」(伏見)。

深夜0時 帰寮する時「僕のイヤホンを勝手に耳から外してくる。やり返したら、なぜか怒る。(助手席の後ろから)首をつかんでくる。『ダルいならダルいって言えよ~』と言いながらやってくる。ダルいと言えば、またなぜか怒る」(宮城)。

深夜2時 ぐっすり就寝。明日はどんな紅林劇場が待っているのやら…。

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◆紅林弘太郎(くればやし・こうたろう)2002年(平14)2月7日生まれ、静岡県出身。駿河総合から19年ドラフト2位でオリックス入り。昨季11月3日楽天戦で放ったプロ初安打は、球団では89年高嶋徹以来の高卒新人初打席安打となった。今季は136試合出場、102安打、10本塁打、48打点、打率2割2分8厘。186センチ、94キロ。右投げ右打ち