東大初の捕手でNPB入りなるか!? 東京6大学野球の東大は18日、都内の東大球場で練習納めを行った。新主将の松岡泰希捕手(3年=東京都市大付)は、二塁送球1秒85の強肩。社会人野球の練習会に参加しており、プロのスカウトからも注目を集めている。「行けるなら行きたい」とプロ志望を明かした。

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隠すことなく、思いを明かした。松岡泰は「大学に入ったときから上のレベルで野球をやりたいと思ってました。プロも視野に入れて、行けるなら行きたい。他大学のキャッチャーと比べても、守りは自信を持てるようになりました」と堂々と言った。神宮球場では、松岡泰が二塁に送球すると、スカウト陣はストップウオッチでチェックするのが恒例。強肩を武器に、新たな歴史を刻めるか。

東大出身のNPB選手は過去6人いるが、全員が投手として入団した。(中日井手はのちに外野手に転向)。松岡泰は「特に気にしません」というが、捕手でNPB入りなら史上初めてとなる。肩の強さは子どもの頃からだ。小3で野球を始めたが、チームでは常に学年NO・1の遠投を誇った。元ヤマハ捕手で、市ケ尾禅当寺少年野球部の伊佐地豪文監督から捕手の投げ方を教わり、コントロールを身に付けた。現在は遠投110メートル。投げては最速144キロだ。

もう1つの武器は記憶力。「打者の苦手なところは頭に入ってます」とリードに生かす。受験でも発揮された。実は高校時代、東大の模試判定は最後まで「E」だった。「1浪しよう」と覚悟していたが、自分でも驚きの逆転合格を果たした。「覚えるだけなので」と、得意の世界史と地理で挽回できたのかも知れない。今は教育学部で民主主義について学んでいる。

東大を志望したのは「自分が東大を勝たせる」との思いから。正捕手となった今年、春に連敗を64で止め実現させた。秋も1勝を挙げた。だが、48季連続で最下位が続く。来年の目標を「チームは最下位脱出。練習から緊張感を持って。最後は技術や運を超えたところで打つ。個人的には、ジャパン(大学代表)に行っている選手には負けたくない」と力強く掲げた。気合と根性も備えた新主将が歴史を変える。【古川真弥】

◆松岡泰希(まつおか・たいき)2000年4月20日生まれ。神奈川・横浜市出身。市ケ尾小3年の時、市ケ尾禅当寺少年野球部で野球を始める。小6から捕手。中高一貫の東京都市大付に進み、中学は東京都市大付ボーイズ。高校は1年夏にベンチ入り。同秋から背番号2。東大では1年春に神宮デビュー。3年秋まで通算35試合、17安打、0本塁打、7打点、2盗塁、打率2割2分1厘。目標とする選手は巨人小林誠司。175センチ、75キロ。右投げ右打ち。

▽東大・井手峻監督(元中日。松岡泰について)「今年は、ノンプロからも注目されている大音(捕手)をサードに回してまで松岡を使った。(プロに挑戦できる)肩の能力は(ある)。プロとなると(課題は)バッティングですね。ライナーを打つように」