阪神の新人合同自主トレが9日、鳴尾浜球場でスタートした。

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新型コロナウイルスに感染して療養中のドラフト5位の岡留英貴投手(22=亜大)を除く7選手が参加。同1位の森木大智投手(18=高知)は視察に訪れた矢野燿大監督(53)が訓示した「終わりの始まり」の金言を胸に、日々鍛錬する決意を明かした。

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寒風の鳴尾浜で阪神ドラフト1位森木大智投手(18)の表情が引き締まった。新人合同自主トレ初日。練習途中に他の新人6人とともに集められ、矢野監督の訓示に聞き入った。「今日はプロ野球の始まりでもあり、終わりにも近づいているのは事実」。記念すべきプロ初日に、引退の時を意識しろという異例の言葉が特別、心に響いた。「終わりに自分がどう思って引退するのかを考えて、1日1日を全力でやっていくことが大事だと」。“プロでの終活”に思いをはせ「できることをチームのために全力でやる。周りのファンに喜んでいただいて、少しでも野球をする子が増えれば」と引退時の理想像を明かした。

もちろんそれは、阪神で一時代を築く投手になること。優勝に貢献し、記録にも記憶に残る投手になることだ。そこに最短ルートで行くのか、遠回りで行くのか。矢野監督は「1日を全力で過ごしながらやってほしい。野球選手が終わっちゃうんやなと思っているのと、思っていないのでは、全然違う1日を過ごせる」と意図を補足。森木について「将来エースとして、タイガースを引っ張る姿を楽しみにしている」と期待するからこその金言だった。

森木も自覚たっぷりだ。「一番頼られる投手になりたいし、チームを絶対勝たせたい思いはしっかり持っています」。最速154キロ右腕は将来のエースを目指し、キャンプは2軍の高知・安芸で土台作りに励む。「地道にやっていく。自分を見つめてしっかり1歩1歩踏んでいくことが大事だと思います」。最高の終わりを逆算し、コツコツ努力を重ねる。【三宅ひとみ】

▽阪神育成1位伊藤稜投手(22=中京大)「全員がライバルというか、競争だと実感しました。支配下契約をつかむために、ベストを尽くすことが大事だと思います」