球界の功労者をたたえる「2022年野球殿堂入り」が14日、野球殿堂博物館から発表され、東海大の創立者である松前重義氏(故人)が特別表彰で野球殿堂入りした。

ゲストスピーチは、東海大相模、東海大と進んだ巨人原辰徳監督(63)が行った。「自分が述べるというのは、おこがましいと思いつつ、こうやって来ました。どういう場面でも、息子のようにかわいがってくれた自負がありますので」。

原家と松前氏との縁は、原監督の父貢氏が三池工(福岡)の監督として出場した65年夏の甲子園にさかのぼる。2回戦で、東海大一(静岡)に11-1で完勝。敗れた側の松前氏は原貢監督に興味を持ち、三池工が決勝まで勝ち上がり、ついには優勝するのを追い掛けた。大会後、東海大一の監督にオファーした。

原監督は「母は、なぜ、やっと全国制覇したのにという意思を持っていたようです。その時、父は松前先生に『もう少し、都に近い学校はありませんか』と」。それで、静岡ではなく、神奈川にある東海大相模の監督になったエピソードを明かした。その後、貢氏は松前氏と食事をしたが、そこで食べたのが、しゃぶしゃぶだった。「父は『こんなおいしい食べ物があるのか』と言っていました」。ジョニーウオーカーの水割りも喜んでいたという。

原監督自身の思い出として、学生時代に貢氏と一緒に総長室を訪れたときのことを紹介した。当時の総理大臣、田中角栄氏からかかってきた電話に対し「角栄君、日中友好も素晴らしい。しかし、まずはアメリカにあいさつすべきだろう」と話しているのを横で聞いたという。「びっくりしました。立派な声でお話しされている内容が、後で思うと体が震えてきます。とにかく、日本全体を考えられていた大変な人物であった。その松前総長から息子のようにかわいがられた自負の中、現在も野球のユニホームを着て戦えています」と、松前氏への感謝を込めて話した。