「森木カット」に注目! 11日の教育リーグ中日戦(鳴尾浜)でプロ初登板予定の阪神ドラフト1位森木大智投手(18)に、母校高知高の浜口佳久監督(46)から熱烈エールが届いた。高知中から6年間指導した恩師は左打者の内角をエグるカットボールをイチオシ。「早くから出てくる予感しかない」とメッセージを発した。【取材・構成=中野椋】

   ◇   ◇   ◇

森木にはまだ、隠された宝刀があった。最速154キロの直球に、調子のバロメーターというカーブ、高知高の先輩捕手、2年目の栄枝が絶賛したツーシームに加え、スプリットにスライダー。どれもが一級品とした上で、浜口監督がプロでの飛躍の鍵になると想像を膨らませる球種がある。

浜口監督 僕はカットボールが良いと思うんです。左バッターのインコースにグッと入る球。もう少し精度が上がってきて、胸元とか膝元の上下にしっかり投げられるようになれば、相手は嫌だろうなと。カーブも良いんですけど直球と比べてどうしても球速が落ちるので、最終的にバットで拾われる可能性もあるんじゃないかな。プロの世界だから変化が小さくて速い、140キロ弱ぐらいのカットボールが武器になると思います。

カットボールは3年春から本格的に投げ始め、夏の高知大会決勝でも明徳義塾の左打者の懐を突き、ライバルを苦しめた。高知中、高知高で6年間バッテリーを組んだ吉岡七斗捕手も「森木の縦気味に変化するスライダーとのギャップで、打者からすれば『真横に浮き上がってくる感覚』になると思う」と力説する。8日のシート打撃に初登板した際はカーブ、スライダー、スプリットを試したのみ。直球の軌道から打者の手元で鋭く曲がる、左殺しのウイニングショットが、プロ初登板で見られるかもしれない。

近年ではヤクルト奥川、ロッテ佐々木朗ら高卒投手が、ルーキーイヤーの鍛錬を経て2年目から1軍戦力として本格稼働。たくさんの武器を携える森木も同様の道を歩めると恩師は確信する。

浜口監督 完成度は高いし、森木も早くから出てくる予感しかないですね。キャンプで追い込んだ分、3月でバテて、4月はちょっとゆっくりやって。5、6月でもう1回調子を上げて。1年目は7月くらいからちょこちょこ試合に出て来てほしい。

高知と兵庫。離れていても師弟の関係は変わらない。プロ入り後も、2人はことあるごとに連絡を取っている。投球フォーム、トレーニング、寮での生活のこと。安芸キャンプにも1度訪れ、間近で成長を感じ取ったという。

浜口監督 良いトレーニングがあったら高知高校に還元してくれと言ってるんです(笑い)。僕からは特に言うことなく、成長過程の中で急に変なことになってるとかズレてないか見るだけ。直すことなんてないし、ますます躍動感が出てきてますよ。

いよいよ「3・11」にプロ初登板。教え子の快投を「楽しみやね」と恩師は心待ちにした。

【関連記事】阪神タイガースニュース一覧

◆浜口佳久(はまぐち・よしひさ)1975年(昭50)5月30日生まれ、高知市出身。高知高から中央学院大に進学し硬式野球部でプレー。卒業後、24歳の時に高知高のコーチに就任。その後高知中軟式野球部の監督を務め、森木を擁した18年には春の全国大会制覇を導いた。8月に行われた夏の全国大会前に高知高に転出。昨秋の四国大会を制し監督就任後初めてセンバツ出場を決めた。社会科教諭。